苦くも柔い恋
「…千晃はどこに行きたいの?」
「特に拘りは無い。和奏と一緒に行けんならどこでも」
「そ、そういうのが一番悩むんだよ」
「じゃあ道後」
「どうして?」
「和奏が見たもの全部知りたいから」
独占欲というのはこういう所もいうのだろうか。
けれど千晃と旅行に行けるならどこでもいいのは和奏だって同じだ。
「じゃあ来年、一緒に行こうよ」
「来年って遠くねえか」
「塾講師の冬は何かと忙しいんだよ」
「あー…それなら仕方ないな」
千晃がハンドルをきり、車内が軽く揺れる。
「じゃあ再来週は会えないっつーことだな」
「うん。ごめんね」
「いや、俺も来週無理だから」
「え…」