苦くも柔い恋
手を握ってくれていた千晃の手の上にもうひとつのそれを重ねた。
今は罪悪感があるからこうして不安に付き合ってくれているけど、それもいつまでもは続かない。
いつか面倒になって鬱陶しく思われてしまう。
どれだけの言葉を伝えても、一向に信じてもらえなければそれも虚しくなる。
疑わない強さを持たないと。
「…その分今週のデート楽しもう。水族館でお土産も買いたいな」
嘘ではなく本心だ。
甘えてばかりいられない。
「…ごめんな、和奏」
「なんで謝るの?社会人なんだから仕事が最優先なのは当たり前でしょ?」
「…違うんだ」
「え?」
千晃の声は小さくてエンジンの音でかき消されてしまった。