苦くも柔い恋
「あと美琴に言っとけ。余計な事喋んなって、これ以上関わるなって」
「ちょ、そんな言い方…」
千晃の冷たい物言いに反論しようとしたら女を、彼氏が引き止めた。
「今のはお前が悪いよ。無神経」
「だ、だって美琴は…」
「それを言ってどうなんの。彼女にはなにも関係ないだろ」
厳しい口調で諌められ女は押し黙り、男はこちらに向かって謝ってきた。
「邪魔して悪いな日比谷。周りには俺から言っとくから」
「…ああ」
未だ不機嫌を隠そうとしない千晃に苦笑いを返し、改めてこちらに謝る仕草を見せて同僚らしい男女は去っていった。
「…悪い。和奏」
打って変わって覇気のない言葉を吐く千晃に和奏は首を振り、静かに肩を寄せた。
「ううん。はっきり言ってくれて嬉しかったよ」
「けど…」
「もちろんショックじゃないと言ったら嘘になるけど…いいの。他の人の言葉より、千晃を信じるって決めたから」