苦くも柔い恋



その後も街並みを散策し、カラクリ時計を見たり足湯をしてみたりして予約していた夕食の時間に合わせて旅館へと戻った。

季節に合わせた料理に舌鼓を打ちつつ、女が2人しか居ないことと互いにそれなりに酒に強いこともあってアルコールが進んだ。

しかし和奏はすっかり頭から抜け落ちていた。
桜が絡み上戸であることを。


「和奏ぁ、わたしのこと好き?」

「うん、好きだよ」

「やったぁ。あのね、彼氏も私のこと好きなんだって」

「良かったね、仲直りしたの?」

「したした!いっぱいしたよ」


さっきからこの調子である。
おかげで先程からお猪口に何度も日本酒を注いでいるのにちっとも酔える気がしない。


「ねえ和奏、」

「なに?」


どうせまた同じ質問が飛んでくるのだろう。
そう思ってお猪口を口に運びながら適当に聞き流していた。


「彼氏できた?」

「ごほッ!」


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