苦くも柔い恋



次の週末から和奏は何度か実家を訪れた。

一度目は宣言通り和奏1人で帰省した。
その日は父が予定があり不在だったので母と2人きりだったので、和奏は何よりもまず謝罪した。

ずっと帰省できなかった事、千晃との交際を黙っていた事。
これまでのことをかいつまんで話す和奏に母は最初不安げにしていたけれど、最終的には実家に帰ってきて来れるようになった事を喜んでくれた。

二度目は千晃を連れて再び謝罪の嵐。美琴の事もあり母は少しだけ千晃を責めるような物言いをしたが、千晃は何度もすみませんでしたと頭を下げ、最後は父に止められた。


「二人とも成人した大人なんだ。納得の上での交際で、こうして謝罪にも来たんだから必要以上に咎めるものじゃない」


母は父に食い下がったが、美琴の妊娠騒動を引き合いに出されて押し黙った。

その流れで美琴の事を尋ねれば、彼女は子どもの父親という人と結婚を決めたらしい。
相手は同期らしく、相手のことは千晃も知っていた。


「誠実そうな人だったわ」


そう言った母は、疲れた顔をしながらも少しだけほっとしているようにも見えた。


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