苦くも柔い恋
「……」
言いたいことは全て言った。
理由もきちんと話したのだから今すぐ出ていってほしい。
だというのに、目の前の男はそこから一向に動こうともしなかった。
「…分かってねえのはお前だろ」
「…は?」
「お前は俺が、心底どうでもいいと思ってる女と付き合う男だと思ってんのかよ」
急に身を乗り出され腕を引かれ、拒否しようともそれを許さない力で引き寄せられる。
「どうでもいい女の為に何年も必死こいて居場所探して、わざわざ何時間もかけて会いに来る男がどこに居るんだよ」
「ちょ、痛い…!」
「お前が何と言おうが何を思って離れようが、お前は俺の女なんだよ」
「っ!」
なんだよそれ。
そんなのあまりに横暴だ。
そう反論しようとしたが、掴まれた腕を強く引かれて近くにあったベッドに放られ押さえつけられた。
その勢いのまま、深いキスを落とされる。
間髪入れずに顎を強く掴まれ、無理矢理舌が捩じ込まれた。
上顎をなぞられ、歯茎を這われ、好き放題に貪られるそれには何の快感もなく、気持ちのこもっていないキスがこれほどまでに虚しいとは思いもしなかった。