苦くも柔い恋
そんなのお構いなしとばかりにエスカレートする行為に次第に千晃の手が服の上から胸元を弄り、恐怖で身を跳ねさせると一瞬だけ唇が離れた。
その隙に和奏は右手を振り上げ、その手のひらを千晃の頬へ思いきり叩きつけた。
パンッ!と高い音が響き、歪む視界で目の前の男を睨んだ。
「…っ、嫌い」
千晃の冷たい目がゆっくりとこちらに向けられる。
「千晃なんか、大嫌い…!」
感情が一切感じられない瞳で見下ろされ、しばらくの沈黙の後千晃は静かに言った。
「…好きに思えよ。勝手に忘れられるより、その方がずっとマシだわ」
静かな部屋に、両者の息遣いだけが木霊した。