苦くも柔い恋
「例えばの話、子供のころモテるやつってのは大抵足が早かったりで何かと目立つやつが多いだろ?」
「はあ…」
「ところがどっこい、いざ社会に出てみれば人気があるのはどういうやつだ?」
「……」
「有体に言えば金を持ってるやつだろ。あとはステータスかな。どこに勤めてるかだとかさ。わかるか?それまでもてはやされてきた事が急に見向きもされなくなる。まあ芸能人やスポーツ選手になれば、話は変わってくるけどさ」
何が言いたいんだろう。
香坂の言葉の意味が汲み取れず、和奏は無言になるしかなかった。
「なぜそうなるか、測るものがそれしかないからだ。中高生なんてのは特にそう。人より目立つものに強烈に憧れるし、そこに順ずることで安心感を得る」
「……」
「さっき話したのは男の場合だけど、女はまた違う気がするな。そりゃあ美人な方が良いけど、大人になった今は地に足しっかりついた自立した女の方が好ましいと、俺は思う」
「えっと、香坂さんは一体何が言いたいんですか…?」
頭がパンクしそうになり、ついに聞いてしまった。
困惑する和奏の表情に、香坂はフッと短く笑った。