冷徹ドクターは初恋相手を離さない
「高速に乗る前にも一回コンビニに寄ろうと思うけれど、その前にトイレとか行きたくなったら言ってね」
「はい」
母のお墓は母の地元であり両親の離婚後に私と母が引っ越した地でもある矢津田市のお寺にある。母の希望で、母の家系の墓じまいをした後、お寺に永代供養をした。そのため基本的な管理はお寺に任せているが、こうしてお墓参りできる時には行くようにしている。
所要時間は高速道路を使って車で二時間半程度。サービスエリアでは早めの昼食を摂り、目的地へと再出発する計画だ。
「サービスエリアで食べるもの、決まった?」
「うーん、まだ悩み中です。直哉さんは?」
「俺はカレーライスって決まっているんだよ」
「直哉さんってカレーライス好きですよね、ほんと」
「ああ。あれは完全栄養食だ」
「ふふ、そうですね」
直哉さんとの関係は順調だと思う。
私が裕太と別れて直哉さんと結ばれたあの日以来、メッセージは毎日欠かさず送ってくれて、会えない日が続きそうな時は数分であろうと通話を提案してくれる。
そして、平日の夜に時間が取れそうな時はレストランでディナーをしたり、休日はデートに誘ってくれたりもした。
おうちデートの時なんかは、私が直哉さんから愛され続ける自信が持てずにいることを見透かしているのか、言葉と行動で愛情表現をして安心させてくれる。
愛の言葉を囁いて、愛おしそうに抱きしめて大事そうに撫でながら、ずっと私に『可愛い』『好きだ』など言っていて離してくれない。
愛されているってこういうことなのだろうか、と嫌でも彼の行動から理解させられてしまう。そうしていくうちに自信が持ててきて、直哉さんへ抱く感情が紛れもなく『愛』なのだと思うようになった。
「そういえば森田さんの件、あれからどうなった?」
「七月後半くらいから連絡がぱったりなくなったので、もう大丈夫じゃないかなと思います。ご心配をおかけしました」
「……そうだといいが」
裕太と別れてからは彼の連絡先を削除したりブロックしていた。しかし、私の電話番号は知られているため、電話番号を入力すると簡単にその相手にメッセージが送れるメッセージアプリでは、裕太が新たに作成したアカウントで何度もメッセージを送ってくることがあった。
しつこくメッセージを送ってくるだけで、特に危険なことや迷惑を被っているわけではないのでその都度ブロックするなどして対処していたのだけれど、最近急に連絡が来なくなり、諦めたのだろうと思うことにした。
「はい」
母のお墓は母の地元であり両親の離婚後に私と母が引っ越した地でもある矢津田市のお寺にある。母の希望で、母の家系の墓じまいをした後、お寺に永代供養をした。そのため基本的な管理はお寺に任せているが、こうしてお墓参りできる時には行くようにしている。
所要時間は高速道路を使って車で二時間半程度。サービスエリアでは早めの昼食を摂り、目的地へと再出発する計画だ。
「サービスエリアで食べるもの、決まった?」
「うーん、まだ悩み中です。直哉さんは?」
「俺はカレーライスって決まっているんだよ」
「直哉さんってカレーライス好きですよね、ほんと」
「ああ。あれは完全栄養食だ」
「ふふ、そうですね」
直哉さんとの関係は順調だと思う。
私が裕太と別れて直哉さんと結ばれたあの日以来、メッセージは毎日欠かさず送ってくれて、会えない日が続きそうな時は数分であろうと通話を提案してくれる。
そして、平日の夜に時間が取れそうな時はレストランでディナーをしたり、休日はデートに誘ってくれたりもした。
おうちデートの時なんかは、私が直哉さんから愛され続ける自信が持てずにいることを見透かしているのか、言葉と行動で愛情表現をして安心させてくれる。
愛の言葉を囁いて、愛おしそうに抱きしめて大事そうに撫でながら、ずっと私に『可愛い』『好きだ』など言っていて離してくれない。
愛されているってこういうことなのだろうか、と嫌でも彼の行動から理解させられてしまう。そうしていくうちに自信が持ててきて、直哉さんへ抱く感情が紛れもなく『愛』なのだと思うようになった。
「そういえば森田さんの件、あれからどうなった?」
「七月後半くらいから連絡がぱったりなくなったので、もう大丈夫じゃないかなと思います。ご心配をおかけしました」
「……そうだといいが」
裕太と別れてからは彼の連絡先を削除したりブロックしていた。しかし、私の電話番号は知られているため、電話番号を入力すると簡単にその相手にメッセージが送れるメッセージアプリでは、裕太が新たに作成したアカウントで何度もメッセージを送ってくることがあった。
しつこくメッセージを送ってくるだけで、特に危険なことや迷惑を被っているわけではないのでその都度ブロックするなどして対処していたのだけれど、最近急に連絡が来なくなり、諦めたのだろうと思うことにした。