冷徹ドクターは初恋相手を離さない
「笹原さん、準備終わりました。映写とマイクも問題ありませんでした」
「了解。じゃあとりあえず先生来るまで待とうか」
「はい」
 乳がん看護認定看護師であり認定がん専門相談員の笹原さんと一緒に会場設営やマイクやプロジェクターの確認をした後に直哉さんが来るとのことだった。
「葉山さんって社会人学生?」
「はい、そうなんです」
「だよねぇ。なんだか慣れてるなぁって思って見てたのよ。じゃあ今日はよろしくね!」
「こちらこそよろしくお願いします」
 笹原さんは明るく私に話しかけてくれたので、ほっとしている。
 社会人学生に当たりが強い看護師さんもいないわけではないから少し不安だったけれど、大丈夫だったみたいだ。
 私は持参していたペットボトルの水を飲んでいると、会議室に直哉さんが入室してきた。
 今日はスクラブに白衣ではなく、ライトインディゴのカジュアルなワイシャツとライトグレーのジャケットとスラックスというビジネススーツではない堅苦しくないスタイルだった。
 スラックスを穿いていると、より一層脚が長く見える。何を着ても似合ってしまう直哉さんに心の中で拍手を送りたい。
「おつかれさまです!」
「ああ、おつかれ」
「あれ、葉山さん荒木先生とお知り合い?」
 私は慌てて立ち上がって直哉さんに挨拶をする。もうそれは運動部の挨拶のような大きな声でハキハキとして、深々とお辞儀をして。
 あまりにも気合いの入った挨拶に、笹原さんはびっくりした表情で私を見て問いかける。
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