冷徹ドクターは初恋相手を離さない
「あ、いえ、実習の時に少しお話したくらいで……受け持ち患者さんの担当の先生だったので」
「なるほどねぇ」
不審に思われただろうか。しかし失礼な学生だと思われるよりはマシだろうと思う。
「あと十分くらいで開場だから、葉山さん受付お願いね」
「わかりました」
私はあくまで学生。直哉さんを変に意識している様子をしている方が怪しまれてしまう。出会う前のあの距離感を思い出して……。
そう思っても最近は直哉さんと恋人らしいことばかりしていたから、いざそうしなければならない状況になると、どうすればいいかわからない。
(笹原さんに感づかれたくないのに、どうしたらいいの?)
受付用のテーブルのイスに座っていると、笹原さんの目を盗んで直哉さんがこちらに近寄ってくる。
(ちょっ、何考えているんですか直哉さん!?)
笹原さんに気づかれてしまうのではないかと焦燥感に駆られる。
何を話しかけられるのかはわからないが、私は彼とそんなに親しくないですよと言い逃れできるように目を逸らした。
「終わったら一緒にランチでもどう?」
耳元でそう囁かれると、どぎまぎとしてしまう。
直哉さんは時折こうした耳うちを私の不意を突いてしてくる。
「わっ、先生、近いですっ……!」
私は胸の前に両手を構えて押し出すようにジェスチャーをして、直哉さんとの距離を取ろうとした。
「すまん。つい」
「……お昼はご一緒します」
私は小さな声で呟くと、その声をしっかりと拾った直哉さんは口角を上げて小さな笑みを浮かべる。
「じゃあまた」
「はい」
私は笹原さんの方を見ると、まだ何か作業をしていた様子を確認出来て胸をなでおろす。
そうこうしていると開場時間になり、続々と来場する参加者の皆さん。私はひとりひとりに挨拶をしてお名前をいただき、名簿を見ながらチェックをしていく。
開始五分前になる頃には全員が着席をしていたので、会場のいちばん後ろに折り畳みイスを移動して座った。
「なるほどねぇ」
不審に思われただろうか。しかし失礼な学生だと思われるよりはマシだろうと思う。
「あと十分くらいで開場だから、葉山さん受付お願いね」
「わかりました」
私はあくまで学生。直哉さんを変に意識している様子をしている方が怪しまれてしまう。出会う前のあの距離感を思い出して……。
そう思っても最近は直哉さんと恋人らしいことばかりしていたから、いざそうしなければならない状況になると、どうすればいいかわからない。
(笹原さんに感づかれたくないのに、どうしたらいいの?)
受付用のテーブルのイスに座っていると、笹原さんの目を盗んで直哉さんがこちらに近寄ってくる。
(ちょっ、何考えているんですか直哉さん!?)
笹原さんに気づかれてしまうのではないかと焦燥感に駆られる。
何を話しかけられるのかはわからないが、私は彼とそんなに親しくないですよと言い逃れできるように目を逸らした。
「終わったら一緒にランチでもどう?」
耳元でそう囁かれると、どぎまぎとしてしまう。
直哉さんは時折こうした耳うちを私の不意を突いてしてくる。
「わっ、先生、近いですっ……!」
私は胸の前に両手を構えて押し出すようにジェスチャーをして、直哉さんとの距離を取ろうとした。
「すまん。つい」
「……お昼はご一緒します」
私は小さな声で呟くと、その声をしっかりと拾った直哉さんは口角を上げて小さな笑みを浮かべる。
「じゃあまた」
「はい」
私は笹原さんの方を見ると、まだ何か作業をしていた様子を確認出来て胸をなでおろす。
そうこうしていると開場時間になり、続々と来場する参加者の皆さん。私はひとりひとりに挨拶をしてお名前をいただき、名簿を見ながらチェックをしていく。
開始五分前になる頃には全員が着席をしていたので、会場のいちばん後ろに折り畳みイスを移動して座った。