冷徹ドクターは初恋相手を離さない
現在、妊娠三十四週。
真夏にはまだ早い時期だというのに、既に最高気温は三十度を余裕で超える日が連続している。
私が入院してから四週間が経過した。産休は出産予定日の六週前から取得するつもりでいたから、それまで順調に経過していたし特に不安に思うこともなく仕事をしていたのに。
入院管理が必要と判断され、担当医である荒木澄怜先生から直接絶対安静を言い渡されそのまま早めの産休に入ってしまったわけだ。
「詩織ちゃん、こんにちは。体調はどう?」
「澄怜先生こんにちは。おかげさまで問題ないです」
「そっかそっか、良かった。食事も問題なく摂れてるね」
「はい」
澄怜先生とは、私の主治医であり義姉……つまり、直哉さんのお姉さんだ。
病院では『先生』と呼んでいるが、プライベートでは澄怜さんと呼んでいる。澄怜さんは私のことを本当の妹のように可愛がってくれるので、私も姉がいたらこんな感じだろうかと思いながら接している。
澄怜さんは産婦人科医だということを知ってからいつかお世話になるかもしれないと思っていたが、まさか本当にお世話になる時が来るとは思っていなくて、初めて病院で会った時は不思議な気持ちだった。
「昨日と今日のモニタリングの結果も問題ないし、点滴から飲むお薬に変わってからも状態が安定しているね。そろそろ退院しても大丈夫かなぁ」
母子ともに状態が安定し、退院しても問題ないと判断された場合は退院出来ると事前に説明を受けていたので、澄怜先生からその言葉を聞けて安心した。
「良かったです。でも、こんな元気になったのに早い産休みたいになっちゃったのが申し訳ないですけどね……」
「何言ってんのよ! おなかの赤ちゃんのためには必要なことよ? とりあえず今は安静。職場のことを考えすぎてストレスを抱えるのもだめよ」
「そうですよね。澄怜先生にそう言ってもらえるとなんだか気が楽になります」
真夏にはまだ早い時期だというのに、既に最高気温は三十度を余裕で超える日が連続している。
私が入院してから四週間が経過した。産休は出産予定日の六週前から取得するつもりでいたから、それまで順調に経過していたし特に不安に思うこともなく仕事をしていたのに。
入院管理が必要と判断され、担当医である荒木澄怜先生から直接絶対安静を言い渡されそのまま早めの産休に入ってしまったわけだ。
「詩織ちゃん、こんにちは。体調はどう?」
「澄怜先生こんにちは。おかげさまで問題ないです」
「そっかそっか、良かった。食事も問題なく摂れてるね」
「はい」
澄怜先生とは、私の主治医であり義姉……つまり、直哉さんのお姉さんだ。
病院では『先生』と呼んでいるが、プライベートでは澄怜さんと呼んでいる。澄怜さんは私のことを本当の妹のように可愛がってくれるので、私も姉がいたらこんな感じだろうかと思いながら接している。
澄怜さんは産婦人科医だということを知ってからいつかお世話になるかもしれないと思っていたが、まさか本当にお世話になる時が来るとは思っていなくて、初めて病院で会った時は不思議な気持ちだった。
「昨日と今日のモニタリングの結果も問題ないし、点滴から飲むお薬に変わってからも状態が安定しているね。そろそろ退院しても大丈夫かなぁ」
母子ともに状態が安定し、退院しても問題ないと判断された場合は退院出来ると事前に説明を受けていたので、澄怜先生からその言葉を聞けて安心した。
「良かったです。でも、こんな元気になったのに早い産休みたいになっちゃったのが申し訳ないですけどね……」
「何言ってんのよ! おなかの赤ちゃんのためには必要なことよ? とりあえず今は安静。職場のことを考えすぎてストレスを抱えるのもだめよ」
「そうですよね。澄怜先生にそう言ってもらえるとなんだか気が楽になります」