冷徹ドクターは初恋相手を離さない
「はるとって……もしかしてこの子のお名前候補ですか!」
「そう。なかなかしっくり来る名前が思いつかなかったんだけど、さっき走っている時に急に思いついたんだ。漢字は、はるとのハルは太陽の『陽』を使ったらいいんじゃないか?」
「荒木はると……いいですね。あたたかい優しい人になってほしいなぁって思うし、太陽の陽を使うの、とてもいいですね」
「詩織もそう思うか! ははっ、なんか嬉しいな」
 はると。いい名前。
 今までなかなかしっくりくる名前が思いつかず、これまで悩んでいたところだったけれど、今日この時、この子は『はると』だ! と強く思ったくらいビビッと来た名前の響きだった。
「陽と並べて違和感がない『と』と読める漢字、何がいいと思います?」
「うーん、そうだな。斗、翔、人、……ここらへんがよく見る漢字だが」
 直哉さんが取り出したメモ帳に候補の漢字を『陽』の下に並べて書いていく。
 私はそれを見ながら、幸せな時間をこうして一緒に過ごせることが本当に嬉しくて微笑んでいた。

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