冷徹ドクターは初恋相手を離さない
妊娠をしながら働くことはとても大変で、身体的にはもちろんだが病棟の先輩方には迷惑をかけてばかりだと思うと申し訳なくて精神的にも負担に感じていた。
いくら表向きは祝福してくれているとはいえ、三年目の終わり頃から妊娠、四年目の夏頃に出産は早すぎるとか、迷惑だとか思っている人もいるだろうから。
『そんなことは関係ない!』と言って私を励ましてくれたのが澄怜さんだった。そして妊娠報告をしたら心から祝福してくれた義両親。
私の愛する夫である直哉さんは『他人にどうこう思われていようが俺たちの人生は俺たちだけのものだ』と言ってくれた。
傍にいる人たちのあたたかい支えで私は幸せに暮らしている。それだけで十分だと思うことにした。
「考えても仕方ないよね、もう異動するってほぼ決まっているし!」
私は育休を一年間取得することとなっている。復帰後は病棟ではなく外来に異動する方向で話がまとまっているのだ。
私は看護師になってからのことを走馬灯のように思い出しながら、おなかを撫でて外の景色を眺めていた。
すると、こんこん、とドアをノックする音がしたので私は返事をする。
「は-い」
「すまん、遅くなった」
呼吸を整えながら訪室してきたのは、予想通り直哉さんだった。
「いえ。お仕事で忙しいのにお見舞い来てくれるだけで十分嬉しいですよ」
「詩織と赤ちゃんに会いたいからな、来るのは当たり前だよ。ね? はると」
直哉さんはベッドサイドの丸イスに腰かけて私のおなかを両手で優しく包み込むように触れた後、愛おしそうに撫でる。
いくら表向きは祝福してくれているとはいえ、三年目の終わり頃から妊娠、四年目の夏頃に出産は早すぎるとか、迷惑だとか思っている人もいるだろうから。
『そんなことは関係ない!』と言って私を励ましてくれたのが澄怜さんだった。そして妊娠報告をしたら心から祝福してくれた義両親。
私の愛する夫である直哉さんは『他人にどうこう思われていようが俺たちの人生は俺たちだけのものだ』と言ってくれた。
傍にいる人たちのあたたかい支えで私は幸せに暮らしている。それだけで十分だと思うことにした。
「考えても仕方ないよね、もう異動するってほぼ決まっているし!」
私は育休を一年間取得することとなっている。復帰後は病棟ではなく外来に異動する方向で話がまとまっているのだ。
私は看護師になってからのことを走馬灯のように思い出しながら、おなかを撫でて外の景色を眺めていた。
すると、こんこん、とドアをノックする音がしたので私は返事をする。
「は-い」
「すまん、遅くなった」
呼吸を整えながら訪室してきたのは、予想通り直哉さんだった。
「いえ。お仕事で忙しいのにお見舞い来てくれるだけで十分嬉しいですよ」
「詩織と赤ちゃんに会いたいからな、来るのは当たり前だよ。ね? はると」
直哉さんはベッドサイドの丸イスに腰かけて私のおなかを両手で優しく包み込むように触れた後、愛おしそうに撫でる。