冷徹ドクターは初恋相手を離さない
「直哉さん……ありがとうございます」
直哉さんの手を上から重ねて、顔を寄せる。
出産の影響なのだろうか、ふと直哉さんの深い愛に触れてしまうと涙が止まらなくなってしまった。
「詩織、どうかしたか?」
「ああ、いえ……なんだか急に涙が。ホルモンバランスが崩れるせいですかね」
きっとマタニティブルーというものだろう。
看護学生の時に勉強したなぁ、なんてふと学生時代のことが頭に過ぎる。
「そうだな。それなら尚更しっかり休める時は休まないとな。何でも話を聞くし、やってほしいことは何でも言って欲しい。俺は詩織のためならなんでもできるよ」
そう言って直哉さんは私の両手をぎゅっと握る。私を見つめるその瞳は、父親としての自覚だけでなく、夫として私のことも大切にしたいという意思や誠意が伝わるほど真っ直ぐなものだった。
「直哉さんもお仕事で忙しいと思いますし……私もやれることはやりたいです」
「ああ、それはもちろんだ。詩織の意思を尊重する。ただ、無理はしないでほしいし、俺をちゃんと頼ってほしい。だから俺も積極的に詩織の力になりたいと思っているということだ」
「ふふ、そうですね。じゃあ、頼っちゃおうかな~。ね、お父さん」
私はわざとらしい口ぶりでそう言いながら、初めて直哉さんに『お父さん』と呼んでみた。
「お父さん……」
さっき自分で『お父さん』と言っていたというのに、他人に言われるのとはまた感覚が違うのだろう。
しみじみとその言葉の響きを堪能している直哉さんは、すやすやと眠る愛しい我が子の頭を撫でる。その眼差しはとてもあたたかく、目を細めて微笑んでいた。
直哉さんの手を上から重ねて、顔を寄せる。
出産の影響なのだろうか、ふと直哉さんの深い愛に触れてしまうと涙が止まらなくなってしまった。
「詩織、どうかしたか?」
「ああ、いえ……なんだか急に涙が。ホルモンバランスが崩れるせいですかね」
きっとマタニティブルーというものだろう。
看護学生の時に勉強したなぁ、なんてふと学生時代のことが頭に過ぎる。
「そうだな。それなら尚更しっかり休める時は休まないとな。何でも話を聞くし、やってほしいことは何でも言って欲しい。俺は詩織のためならなんでもできるよ」
そう言って直哉さんは私の両手をぎゅっと握る。私を見つめるその瞳は、父親としての自覚だけでなく、夫として私のことも大切にしたいという意思や誠意が伝わるほど真っ直ぐなものだった。
「直哉さんもお仕事で忙しいと思いますし……私もやれることはやりたいです」
「ああ、それはもちろんだ。詩織の意思を尊重する。ただ、無理はしないでほしいし、俺をちゃんと頼ってほしい。だから俺も積極的に詩織の力になりたいと思っているということだ」
「ふふ、そうですね。じゃあ、頼っちゃおうかな~。ね、お父さん」
私はわざとらしい口ぶりでそう言いながら、初めて直哉さんに『お父さん』と呼んでみた。
「お父さん……」
さっき自分で『お父さん』と言っていたというのに、他人に言われるのとはまた感覚が違うのだろう。
しみじみとその言葉の響きを堪能している直哉さんは、すやすやと眠る愛しい我が子の頭を撫でる。その眼差しはとてもあたたかく、目を細めて微笑んでいた。