エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「そろそろ、俺は会場に向かう。この後も打ち合わせ通りに頼む」

「はい、分かりました」

 私は征士さんたちと別れると、篠崎さんと係の人と一緒に衣装部屋に待機した。
 部屋の一角にはデスクと椅子、ノートPCなどが設置されている。PC画面で、お披露目イベントの映像をライブ撮影で観られるようになっていた。

「もうすぐ始まるわ」

 篠崎さんがPCを指差す。画面には、会場となるホテル併設のチャペルが映し出されていた。
 予定では、このチャペルで征士さんがブランドと製品の紹介をした後、セレモニーイベントとして花嫁姿の私が入場、指輪の交換が行われる流れだ。

 正面にステンドグラスが輝くチャペル内は、一面真っ白な花々で飾られている。ドレスアップの前にリハーサルで訪れたけれど、夢が詰まった幸せな空間だった。
 バージンロードの両側にある席には、大勢の招待客が座っている。テレビカメラが入っているのを見つけて、私の緊張もより高まった。

「藤島さん、大丈夫よ。征士に全て任せればいいわ。あなたは普段通りの明るい笑顔で、バージンロードをゆっくりと歩けばいいだけ。後は、征士が何とかしてくれるから」

 篠崎さんが微笑んで、私の肩を軽く叩く。その優しさに心が和らいだ。うん、私は自分に出来る限りのことをしよう。
 と、大きな歓声と拍手の音が聞こえた。画面の中で、祭壇脇の部屋からタキシード姿の征士さんが登場した。征士さんは祭壇の前で立ち止まると、招待客の方へと向き直り、マイクを手に堂々とした佇まいで話し始める。

「皆様、この度はAnge Premierのお披露目イベントにお越しくださいまして、誠にありがとうございます。『天使が祝福する永遠』をテーマにした、Angeのプレステージライン。その魅力をご紹介しましょう」

 いよいよ、お披露目イベントの幕開けだ。
 私はもう一度移動の時間を確認してから、両手を組んでAnge Premierの成功を祈った。
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