エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 やがて部屋に料理が届き、ダイニングテーブルに運んでもらってから、久しぶりのディナーデートをした。
 色とりどりの具材が綺麗な前菜やサラダに、ペンネボロネーゼ。メインの牛肉のローストは、ひとり分ずつ頼んである。そして私の前にだけ、チョコレートケーキの小皿が置かれていた。

「あれっ? このケーキ、私の分しかないようですが」

「俺は普段甘い物を食べないから、気にしなくていい。ここのホテルのザッハトルテは絶品らしいぞ」

「へえ、そうなんですか。ありがとうございます」

「どういたしまして。糖分で疲れが取れるといいな」

 彼の優しさが私の心を温かく満たす。その後は窓からの夜景を眺めながら、ふたりで楽しくお喋りして食事をとった。
 征士さんが微笑んで私を見つめる。

「乃愛の花嫁姿は本当に綺麗だった」

「ありがとうございます。征士さんの方がずっと素敵でした。それに、ヘアメイクさんの腕前が良かったんですよ」

「いや、ヘアメイクの腕だけではない。素材の良さだ」

 お世辞じゃなく、本心から言っているように見える征士さんに、くすぐったいような気持ちになる。
 ホテルのスイートルームで優しい恋人と過ごす、夢のような時間。
 この人とずっと一緒にいられたらな……と、模擬結婚式の時にも考えたことをまた思い出す私だった。
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