エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
それからも良い企画は浮かばず、今日は残業中。
カフェテリアで小休憩してからオフィスに戻ろうとしたら、突然、「乃愛ちゃん」と後ろから肩を叩かれた。驚いて全身がビクッと跳ねる。
振り向くと、同じ課の三年先輩の野田立樹さんがいた。
明るい茶髪を爽やかなベリーショートにして、シンプルなセットアップにTシャツとスニーカーというカジュアルめのファッションだ。
彼もAnge Premierのプロジェクトメンバーで、最近はこうして話し掛けられることが増えた。
「残業までして大変だね。疲れてない?」
そう言って、気さくな笑顔を向けてくる。
野田さんは明るくて親しみやすい先輩なんだけど、相手との距離が(物理的にも精神的にも)近いから、男性にあまり免疫のない私はどう接したら良いのかが分からない。
「大丈夫です。野田さんも残業ですか?」
「そうだよ。それにしても乃愛ちゃん、あの鬼上司に目を付けられてるみたいだね」
「鬼上司?」
一瞬、誰のことを言ってるんだろうって思った。でも、私に厳しい上司といえば、あの人しかいない。
野田さんが苦笑する。
「御堂課長のこと。あの人、陰でそう呼ばれてるんだよ。確かに、乃愛ちゃんに対しても容赦ないよな。まだ経験が足りないんだから、もっと優しくしてやればいいのに」
「それは、私が力不足なだけですから」
「そんなことないよ。乃愛ちゃんはよくやってる。俺は君の頑張りを認めてるからね」
そう言って、また私の肩を叩く野田さん。彼の言葉は嬉しいけれど、さっきより距離が近くなっているような。
「でもさ、オフィスに閉じこもっていても、良いアイディアなんて浮かばないって。今日はこれくらいで切り上げて、気分転換に飲みにでも行かない?」
「えっ」
いきなりの誘いにびっくりする。
この流れだと、野田さんと二人きりで飲みに行くことになりそうだよね。
さすがにそれは困る。男性と二人で飲みに行ったことなんてないし。でも、相手は先輩だから、はっきり断るのも難しい。
「ほら、行こう」
今度は肩を抱かれて、その手の大きさと力強さに恐怖を覚える。
何も言えないで固まっていると、
「藤島さん」
私を呼ぶ、低く落ち着いた声が聞こえた。
カフェテリアで小休憩してからオフィスに戻ろうとしたら、突然、「乃愛ちゃん」と後ろから肩を叩かれた。驚いて全身がビクッと跳ねる。
振り向くと、同じ課の三年先輩の野田立樹さんがいた。
明るい茶髪を爽やかなベリーショートにして、シンプルなセットアップにTシャツとスニーカーというカジュアルめのファッションだ。
彼もAnge Premierのプロジェクトメンバーで、最近はこうして話し掛けられることが増えた。
「残業までして大変だね。疲れてない?」
そう言って、気さくな笑顔を向けてくる。
野田さんは明るくて親しみやすい先輩なんだけど、相手との距離が(物理的にも精神的にも)近いから、男性にあまり免疫のない私はどう接したら良いのかが分からない。
「大丈夫です。野田さんも残業ですか?」
「そうだよ。それにしても乃愛ちゃん、あの鬼上司に目を付けられてるみたいだね」
「鬼上司?」
一瞬、誰のことを言ってるんだろうって思った。でも、私に厳しい上司といえば、あの人しかいない。
野田さんが苦笑する。
「御堂課長のこと。あの人、陰でそう呼ばれてるんだよ。確かに、乃愛ちゃんに対しても容赦ないよな。まだ経験が足りないんだから、もっと優しくしてやればいいのに」
「それは、私が力不足なだけですから」
「そんなことないよ。乃愛ちゃんはよくやってる。俺は君の頑張りを認めてるからね」
そう言って、また私の肩を叩く野田さん。彼の言葉は嬉しいけれど、さっきより距離が近くなっているような。
「でもさ、オフィスに閉じこもっていても、良いアイディアなんて浮かばないって。今日はこれくらいで切り上げて、気分転換に飲みにでも行かない?」
「えっ」
いきなりの誘いにびっくりする。
この流れだと、野田さんと二人きりで飲みに行くことになりそうだよね。
さすがにそれは困る。男性と二人で飲みに行ったことなんてないし。でも、相手は先輩だから、はっきり断るのも難しい。
「ほら、行こう」
今度は肩を抱かれて、その手の大きさと力強さに恐怖を覚える。
何も言えないで固まっていると、
「藤島さん」
私を呼ぶ、低く落ち着いた声が聞こえた。