エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「まさか、誰かにアクセサリーを貰う日が再び訪れるなんてね」
十一年前に貰った宝物は、ピンクサファイアがセットされた王冠型のリング。名前も知らない年上の男の子がくれた。
今日貰った宝物は、ロードライトガーネットとパールのブレスレット。買ってくれた相手は、まさかの上司だけど……。
過去からの宝物と、現在からの宝物。
――じゃあ、未来は?
今後、私に大切な相手が出来て、その人から一生の宝物……誓いの指輪を貰う機会なんて、あるのかな?
「あるわけないか」
ドレッサーの鏡に映る私は、自嘲気味の笑みを浮かべている。
男性との関係に一歩踏み込めない自分。触れられるのも嫌なくらいだから、そんな私と恋人になってくれる人なんて、現れないよね。
落ち込む心を慰めるために、私は宝物の指輪を手に取った。
指輪の内側には、メッセージが刻印されている。これはAnge製品を購入した人への無料サービスで、好きなメッセージやイニシャルを彫ることが出来るのだ。
あの日貰った指輪に刻まれていたメッセージ。
Bonne Chance(幸運を祈ります)
いつだって私は、この言葉に励まされてきた。
まるで、指輪をくれた男の子――今となっては、記憶の中の姿は朧げだけれど――が、私を元気づけてくれているみたい。
そんなことを考えながら、私は穏やかな気持ちで指輪を見つめるのだった。
十一年前に貰った宝物は、ピンクサファイアがセットされた王冠型のリング。名前も知らない年上の男の子がくれた。
今日貰った宝物は、ロードライトガーネットとパールのブレスレット。買ってくれた相手は、まさかの上司だけど……。
過去からの宝物と、現在からの宝物。
――じゃあ、未来は?
今後、私に大切な相手が出来て、その人から一生の宝物……誓いの指輪を貰う機会なんて、あるのかな?
「あるわけないか」
ドレッサーの鏡に映る私は、自嘲気味の笑みを浮かべている。
男性との関係に一歩踏み込めない自分。触れられるのも嫌なくらいだから、そんな私と恋人になってくれる人なんて、現れないよね。
落ち込む心を慰めるために、私は宝物の指輪を手に取った。
指輪の内側には、メッセージが刻印されている。これはAnge製品を購入した人への無料サービスで、好きなメッセージやイニシャルを彫ることが出来るのだ。
あの日貰った指輪に刻まれていたメッセージ。
Bonne Chance(幸運を祈ります)
いつだって私は、この言葉に励まされてきた。
まるで、指輪をくれた男の子――今となっては、記憶の中の姿は朧げだけれど――が、私を元気づけてくれているみたい。
そんなことを考えながら、私は穏やかな気持ちで指輪を見つめるのだった。