エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「響子さん、私もやります」

「お、ありがと。じゃあ、ここから半分をお願いね」

 バックヤードでふたり、在庫を確認していく。

「ごめんね、手伝わせちゃって。乃愛ちゃんも課長さんも忙しいのに」

 申し訳なさそうな響子さんに、私は首を横に振った。

「気にしないでください。これでまた、Angeの新しいファンが増えますから」

「いいよね、乃愛ちゃんのAnge愛。いや、今はそれだけじゃないのかな」

「えっ?」

 何のことか分からない私に、響子さんはニヤニヤしながら冷やかしてきた。

「例のイケメン課長さん。乃愛ちゃんとイイ感じじゃない。さては恋してるな?」

「えぇっ!? 何言ってるんですか。私と御堂課長とじゃ釣り合わないですよ」

 それはとんでもない勘違いだ。激しく否定すると、響子さんは首を傾げた。

「そうかなぁ。お似合いだと思うけどなぁ」

「だって、課長はMIDOUグループの社長の息子さんなんですよ」

「えっ、そうなんだ。やったね、玉の輿じゃん!」

「響子さんったら……」

 ポジティブ過ぎてついていけないよ。
 すると響子さんは、さっきよりも優しい口調になって言った。

「まあ、イケメンとか玉の輿とかは抜きにしてもさ。乃愛ちゃんが打ち解けて話せる男性を初めて見たんだもの」

「それは、御堂課長は優しい方ですから」

「でも、今までいなかったでしょ、そんな人。男性のお客様には店員としてちゃんと接客出来るけど、たまに会う社員の男には緊張してたよね?」

「……はい」

 正直に頷くと、響子さんは微笑んだ。

「恋しよう、なんて無理に張り切る必要はないよ。だけど、この人素敵だなとか、一緒にいて落ち着くなとか、そういうプラスの感情があるなら、大事にしてみたらどうかな」

「響子さん……」

 御堂課長は男らしくて頼りがいのある人。
 そんな彼のことが、全く気にならないなんて言ったら嘘になる。
 この気持ちは、恋というよりは淡い憧れなのかもしれないけれど。
 大事にしても、いいのかな?
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