エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 指輪の思い出を語り終えた私は、ふうっと息を吐いた。
 旅先で自分を助けてくれた男性から指輪を貰うだなんて、こんな非現実的な話、御堂課長は信じてくれるだろうか。

「そうか。一度だけ会った人から貰った物なんだな」

 だから、彼から納得したような言葉を聞けて、密かに安心した。

「はい。さすがに、両親には言えなくて、父が気付く前に指輪を隠しましたけどね」

 苦笑しながら、服の下に着けていたネックレスを取り出す。王冠をかたどった綺麗な指輪は、今日も私を見守ってくれている。

「旅行から帰って来て、自分の部屋でドキドキしながら指輪を嵌めてみたんですけど……私にはちょっとサイズが大きくて。だから、チェーンを通してネックレスにしたんです」

「それは、申し訳ないことをした」

「えっ?」

 御堂課長、何で謝るんだろう?
 じっと彼を見つめると、気まずそうな表情と声が返ってくる。

「あ、いや……。Angeに携わる者として、お客様にご満足頂けない商品を提供するなんて、許せなかっただけだ」

「そんな、誰も何も悪くないですよ」

 仕事熱心な人だなぁ。上司に対して思うことじゃないけど、ちょっと微笑ましい。
 御堂課長は、真面目な顔に戻って問い掛けてきた。

「藤島さんは、指輪をくれた相手と再会したいと思うか?」
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