エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました

謎の美女現る

 ゴールデンウィークが明けてからずっと、私はAnge(アンジュ) Premier(プルミエ)のプロジェクトで忙しくしていた。
 あっという間に時が過ぎて、五月下旬。

「いよいよか……」

 今日は朝起きた時から、ずっとそわそわしている。
 何故かというと……今日はついに、Ange Premierのサンプル品が上がってくるんです!


 午前中のプロジェクト会議で、製品展開する予定のブライダルリングのサンプルを初めて目にした。

「素敵!」

 周りのメンバーたちからも歓声が上がる。
 エンゲージリングは、ダイヤモンドを取り囲むプラチナの曲線が天使の翼を模している。Angeらしいロマンチックな仕上がりだ。
 マリッジリングも、シンプルなデザインながら曲線の模様が印象的で、個性がありつつも飽きずに長く使えるデザインだ。小さなダイヤモンドをライン状に配し、華やかさもある。

「ねえ、藤島(ふじしま)さん。ちょっと嵌めてみてよ」

「えっ、私がですか?」

 先輩にそう言われて、私はびっくりして聞き返した。

「うん。実際に指に嵌めたら、どんな感じになるか見てみたくて。藤島さんの手、綺麗にネイルしてるから、モデルに丁度いいでしょ?」

 他のメンバーたちも、「いいね」「見せてよ」と乗り気だ。
 いいのかな、私が着けちゃっても……。思わず征士(せいじ)さんを見ると、優しい微笑みが返ってきた。

「藤島さん、嵌めてみてくれないか?」

 征士さんにまで言われては、断るなんて出来ない。私はリングケースから、ダイヤモンドが輝くエンゲージリングを手に取った。柔らかな光を内包するプラチナの質感に、うっとりと見惚れる。
 指輪を左手の薬指に嵌めようとした時――、急に会議室のドアが開いた。
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