エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「?」

 まだ会議中なのに、一体誰だろう?
 全員の視線が、会議室に入ってきた人物に向けられる。
 そこに立っていたのは、見知らぬ女性だった。私よりもいくつか年上に見える。背がすらりと高く、スタイルも良くて華やかな印象の美女だ。
 彼女はウェーブを掛けたダークブラウンのロングヘアを揺らして、優雅な足取りで征士さんの元へと向かった。

「征士、酷いじゃないの。サンプルが出来たのなら、私も呼んでよね」

 えっ、征士さんを呼び捨て? しかも、かなり親しげだ。
 征士さんは困ったように眉根を寄せた。

「だからって、急に押し掛けてきて良いわけがないだろう。君はいつも気まぐれだな」

「だって、私はAnge Premierの関係者よ。すぐにチェックさせてくれないと」

 征士さんも彼女のことをよく知っているみたい。Ange Premierの関係者ってことは、取引先の人なのかな?
 女性は私たちの視線に気付くと、大輪の花が咲いたような明るい笑顔を見せた。

「自己紹介が遅れたわね。私は篠崎(しのざき)(あおい)。Ange Premierのデザイナーよ」

 周りの先輩方がどよめく。この人――篠崎さんが、今、私が手にしている指輪をデザインしたんだ……すごいな。

 そういえば、Ange Premierのデザイナーは征士さんの知り合いだと聞いた。仕事振りを見て、征士さんの方からデザインの依頼をしたんだっけ。
 ふたりは一体、どういう関係なんだろう?
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