エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
MIDOUの本社ビルには社員専用のカフェテリアがあって、お洒落なランチを格安で食べることが出来る。
今日は沙希と、同じ課の三年先輩の笹下円香さんと一緒にランチ中。
「あ、このドレッシング美味しい」
サラダがメインのヘルシーランチに舌鼓を打つ私をよそに、沙希はイケメン課長の赴任に浮ついている。
「ねぇねぇ、新しい課長、かなりハイレベルですよね? 仕事もデキそうだし、あの見た目だし。女子社員の争奪戦が始まりそう!」
そんな沙希の言葉に、円香さんがツッコミを入れる。
「何言ってるの、沙希ちゃん。争奪戦なんて起きないわよ。あの課長は、私たちの手の届かない存在なんだから」
「え〜? まあ、その辺の女なんて相手にしなさそうな雰囲気ですけど。でも、可能性はゼロじゃないでしょう?」
食い下がる沙希に、円香さんはため息を吐いた。
「沙希ちゃん、まだ気付いてないの?」
「何がですか?」
「課長の名前。御堂征士さんは、このMIDOUグループの社長の息子さんよ。いわゆる御曹司ってやつ」
「えっ!?」
円香さんの言葉に、沙希だけでなく私も驚いた。
知らなかった……確かに御堂姓だけど。
MIDOUグループは大企業だから、本社勤務の私でも、御堂社長には滅多にお目にかかれない。雲の上の存在だ。
そんな社長の息子さん。確かに、平社員の私たちにはふさわしくないよね。
円香さんは人差し指を振りながら説明を続ける。
「御堂課長は将来的に社長の座を継ぐみたい。今までは、勉強も兼ねて外資のアパレル企業に勤めていたそうよ」
円香さんの告げたアメリカの企業は、世界的に有名なカジュアルファッションのブランドを持っている。
沙希が「あーあ」とがっかりした声を出した。
「ハイスペ御曹司かぁ。そういう人は、どっかの美人なご令嬢と結婚しそうですよね。狙うだけ時間のムダだわ。観賞用イケメンとして、目の保養にしようっと」
そうなるよね……じゃあ私、そんなすごい人に指輪を探させちゃったってこと?
朝礼に遅れて来たのも、一緒に探し物をしていたせいで、時間が押しちゃったからかもしれないよね。
そのことに気付き、ひとりでこっそりと落ち込む。
今朝の出来事は、誰にも話せそうになかった。
今日は沙希と、同じ課の三年先輩の笹下円香さんと一緒にランチ中。
「あ、このドレッシング美味しい」
サラダがメインのヘルシーランチに舌鼓を打つ私をよそに、沙希はイケメン課長の赴任に浮ついている。
「ねぇねぇ、新しい課長、かなりハイレベルですよね? 仕事もデキそうだし、あの見た目だし。女子社員の争奪戦が始まりそう!」
そんな沙希の言葉に、円香さんがツッコミを入れる。
「何言ってるの、沙希ちゃん。争奪戦なんて起きないわよ。あの課長は、私たちの手の届かない存在なんだから」
「え〜? まあ、その辺の女なんて相手にしなさそうな雰囲気ですけど。でも、可能性はゼロじゃないでしょう?」
食い下がる沙希に、円香さんはため息を吐いた。
「沙希ちゃん、まだ気付いてないの?」
「何がですか?」
「課長の名前。御堂征士さんは、このMIDOUグループの社長の息子さんよ。いわゆる御曹司ってやつ」
「えっ!?」
円香さんの言葉に、沙希だけでなく私も驚いた。
知らなかった……確かに御堂姓だけど。
MIDOUグループは大企業だから、本社勤務の私でも、御堂社長には滅多にお目にかかれない。雲の上の存在だ。
そんな社長の息子さん。確かに、平社員の私たちにはふさわしくないよね。
円香さんは人差し指を振りながら説明を続ける。
「御堂課長は将来的に社長の座を継ぐみたい。今までは、勉強も兼ねて外資のアパレル企業に勤めていたそうよ」
円香さんの告げたアメリカの企業は、世界的に有名なカジュアルファッションのブランドを持っている。
沙希が「あーあ」とがっかりした声を出した。
「ハイスペ御曹司かぁ。そういう人は、どっかの美人なご令嬢と結婚しそうですよね。狙うだけ時間のムダだわ。観賞用イケメンとして、目の保養にしようっと」
そうなるよね……じゃあ私、そんなすごい人に指輪を探させちゃったってこと?
朝礼に遅れて来たのも、一緒に探し物をしていたせいで、時間が押しちゃったからかもしれないよね。
そのことに気付き、ひとりでこっそりと落ち込む。
今朝の出来事は、誰にも話せそうになかった。