エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 午後からは社内会議。新年度初日の今日は、一年の方針や計画を発表する予定だ。
 企画課のメンバーは皆仲が良いから、いつもなら和やかにワイワイと話し合うんだけど……今日は緊張感が漂う。
 その理由は一目瞭然。御堂課長の存在だ。

「それでは、俺から今年度のAngeの方針を発表する」

 御堂課長の言葉に、場の空気がピンと張り詰める。

「今年度は勝負の年だ。新ブランドAnge(アンジュ) Premier(プルミエ)を立ち上げる。君たちに事前の市場調査をしてもらっていた件だ。Angeのプレステージラインとして、ブライダルリングを展開していく。今後はプロジェクトメンバーを中心に動いてもらう予定だから、業務調整を円滑に行うように」

 いよいよか……。
 私は前方のスクリーンに投影されたAnge Premierの資料をじっと見つめた。
 これまでのAngeのターゲットは二十代の独身カップルだったけど、Ange Premierは二十代後半から三十代前半とより大人向けだ。結婚を意識したふたりに向けた、エンゲージリングとマリッジリングを提案する。

 Angeのアクセサリーに慣れ親しんだカップルが、Ange Premierで一生もののリングを手に入れる――何て素敵なんだろう。
 ブランド説明の後は、御堂課長からプロジェクトメンバーの任命があった。選ばれたメンバーは、ベテランの精鋭揃い。さすが、力が入っているな。

「最後に藤島乃愛さん。以上が、Ange Premierのプロジェクトメンバーだ」

「えっ!?」

 突然、自分の名前を呼ばれて、私は驚いて大きな声を出してしまった。

「どうした。会議中に大声を出すな」

 御堂課長がクールな眼差しで注意してくる。

「ごめんなさい。まさか、自分が選ばれるとは思ってなくて」

 だって、私は企画課の中でも下っ端で、役に立ちそうもないのに。
 戸惑う私に、御堂課長は淡々と説明する。

「若手の考えも必要だ。多様な視点がないと、アイディアが凝り固まる。藤島さんには、将来のお客様目線での意見を聞かせてほしい」

「はっ、はいっ!」

 自信はないけど、せっかくの機会だもの。頑張らなきゃ!
 テンパりながらも返事をすると、他の人たちが拍手で応えてくれた。
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