エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 ラウンジ同様、ラグジュアリーホテルみたいな内廊下を歩き、征士さんの部屋に辿り着いた。

「お、お邪魔します」

「そんなに緊張しなくてもいい。俺しか住んでないんだから」

 そう言われても、縁のない場所だからドキドキしちゃうよ……。
 広めの玄関ホールを通り過ぎ、リビングダイニングに入ると、正面の窓から暮れなずむ東京の街を見下ろせた。

「わぁ、綺麗!」

 思わず窓辺に駆け寄って、見晴らしの良い風景を楽しむ。

「お家からこんな景色が見られるなんて、すごいですね。まるで、鳥になった気分です」

「俺はもう見慣れてしまったんだが、乃愛が気に入ってくれたのなら良かった」

 征士さんは微笑ましそうに私を見ると、「紅茶でも淹れようか」と、アイランドキッチンの中に入った。

「あっ、すみません。いきなり、征士さんのお部屋に来た上に、紅茶までご馳走になっちゃって」

「気にしないでくれ、当然のことだ。今の乃愛は、俺のお客さんなんだから」

 ソファーを勧められたので、ちょこんと座る。柔らかく沈み込む座り心地の良いグレーのソファー。きっと、高価な物なんだろうな。

「お待たせ」

 征士さんがトレイにふたり分のマグカップを載せてやって来る。

「ありがとうございます」

 目の前に置かれたマグカップに口を付けると、飲みやすくまろやかな紅茶の風味が広がった。

「美味しいです。征士さんは紅茶を淹れるのもお上手なんですね」

「品質の高い茶葉を使っているだけだ。誰が淹れても美味くなる」

 征士さんはそう言って微笑んでから、ちょっと首を傾げた。

「それで、話ってなんだ? 突然、乃愛が会いたいと言い出すなんて、珍しいな」

 心の中で、恥ずかしさや情けなさが湧き起こる。でも、ちゃんと話さなくちゃ。
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