エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「私、さっき篠崎(しのざき)さんに会ってきました」

(あおい)と? 何かあったのか?」

 意外そうに目を見開く征士さん。
 お願い、今から言うことを聞いて、がっかりしないで。

「えっと、実は私……職場の人から、篠崎さんが征士さんの婚約者だって聞いて、信じてしまったんです」

「え……」

「征士さん、篠崎さんに私たちがお付き合いしていることを話したそうですね。それで、篠崎さんが私の勘違いに気付いて電話をくれたんです」

「そうだったのか」

 征士さんはそっと目を伏せた。その口から、ため息が漏れる。

「だから、最近の乃愛は元気がなかったんだな」

「ごめんなさい。すぐに、征士さんに確認すれば良かったのに」

「いや、俺がきちんと話すべきだった。葵は幼馴染で、親友のような存在だ。互いに、恋愛対象として見たことはない」

「はい。篠崎さんからも、そう聞きました」

 目を合わせた私たちは、どちらからともなくクスッと笑みを零した。

「それならもう、仲違いは解消したということで良いだろうか?」

 征士さんが結論付けるように聞く。

「仲違いというよりは、私がひとりで勘違いしていただけですが……もう、これで終わりにしましょう」

「ああ、終わりにしよう。俺も乃愛を不安がらせないような、器の大きい男になるから」

 もう充分なってますよ、と言いたいけれど、ひとりで勝手に不安になっていた手前、何も口に出せない。
 すると征士さんは、場の空気を和やかにするように話題を変えた。

「そうだ。俺の書斎には、歴代のAnge(アンジュ)製品がディスプレイしてあるんだ。良かったら、見てみるか?」

「はい、ぜひ」
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