エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 征士さんに案内されて、リビングの隣にある書斎に入る。
 デスクと椅子が置かれたワークスペースに、綺麗に整頓された本棚。どちらもリビングと同じモノトーンで纏められていて、征士さんらしいスタイリッシュな雰囲気だ。
 そして、デスクの反対側に置かれたガラスケースには、Angeの代表的な製品がショップのようにディスプレイされていた。

「こんなにたくさん……すごいですね!」

 最近の製品は私も直接見てきたけれど、過去に発売された物に関しては、Angeのサイトでしかお目に掛かったことがない。
 シーリングライトの光を受けて、一斉に煌めくペアアクセサリーたち。
 地金はシルバーやイエローゴールド、ピンクゴールドなど様々で、デザインによっては、色とりどりの石が嵌まっている物もある。
 幸せな輝きに、うっとりと見惚れる私だった。

「ゆっくり見ていてくれ。俺は紅茶を淹れ直してこよう」

 ガラスケースの前で動けなくなってしまった私に、征士さんが気を遣ってくれる。
 私は書斎を出て行く征士さんにお礼を言うと、じっくりとアクセサリーを眺めた。

「あれっ?」

 ふと、違和感に気付いて、視線をある製品へと移す。

「この指輪、片方しかない……何でだろう?」

 他のアクセサリーはペアで置かれている中で、ぽつんとひとつだけ佇んでいる指輪があった。
 ブラックシルバー製のメンズリング。王冠をかたどったデザインで、中央には濃い青色の貴石――おそらく、ブルーサファイアが嵌まっている。
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