エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
「これって、もしかして……」

 私は首からネックレスを外すと、チェーンからお守りの指輪を抜いた。
 自分の指輪と、ガラスケースの中のそれとを見比べる。

「やっぱり。この指輪と対になるメンズリングだ」

 数あるAnge製品の中でも、王冠モチーフのアクセサリーは、この指輪だけだったはずだもの。
 私は胸がドキドキするのを感じながら、ふたつの指輪を見比べた。

 丁寧に扱っているとはいえ、長年着けてきた私の指輪は、小さな傷などの経年劣化が見られる。一方のメンズリングは、新品同様の輝きを放っていた。
 他のアクセサリーもだけど、一度も身に着けていない物なんだろうな。それでも、十年以上前のシルバーリングが綺麗な状態を保っているのは、征士さんがきちんとお手入れをしてきたからだろう。

「あ、この指輪にもメッセージが彫られてる」

 目を凝らして、メンズリングの裏側に刻印されたメッセージを確認する。

「……えっ?」

 一瞬、驚きのあまり、時が止まった気がした。

Bonne(ボンヌ) Chance(シャンス)?」

 その言葉は、私の指輪に彫られているものと同じだった。
 アクセサリーへの刻印サービスは、自分の好きなメッセージやイニシャルを彫ることが出来る。
 だから、別々の指輪に同じ言葉が刻まれている可能性は、極めて低いはず。

「それなのに、どうして……」

 信じられない気持ちでメンズリングを見つめていると、書斎のドアが開く音がした。
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