エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 そんなわけで、お披露目イベントが開催される今日、私はホテルの控室でメイクをしてもらっている。

「藤島様、とってもお綺麗ですよ!」

「わぁ……!」

 メイクが終わり、鏡に映る自分はまるで別人だった。
 ピンクが主体のメイクは、私も好きでいつもしているけれど、さすがプロ。普段のナチュラルメイクよりも濃いのに、私の顔にしっくり馴染んで華やかなムードを作っていた。
 丁寧なベースメイクで艶やかな光を放つ肌に、しっかりめのアイラインとマスカラで瞳の印象も強まっている。
 美形の征士さんの隣に並ぶのは恐れ多いけれど、ちょっとは釣り合う顔になれたかな……?
 髪はフルアップにして、クリスタルが煌めくティアラとイヤリングを着けた。

「それでは、お着替えに移りましょうね」

 係の人に案内されて、ウェディングドレスのある衣装部屋に移動する。
 この日のために篠崎さんが選んでくれたドレスは、プリンセスラインと呼ばれるウエストからふわっと広がる形をしている。まさにお姫様のようなシルエットで可愛らしい。
 純白のドレスには、同色の艶めく糸で全体にエレガントな刺繍が施され、上品ながらも存在感がある。

「藤島様、きつくありませんか?」

「大丈夫です」

「はい、これでお着替えは終わりですよ。さあ、鏡の前までどうぞ。とてもよくお似合いです」

 ドレスの裾を持ってもらいながら鏡の前まで進み、自分の姿を確認する。

「!」

 鏡に映るのは、今までで一番輝いている私だった。華やかなドレスとティアラに飾られた、憧れの花嫁姿だ。
 でも、このドレス、とっても素敵だけど本当に私に似合ってるかな? 高価な物だろうから、私には不相応じゃない? ドレスアップするのは初めてだから、心配になってきたよ。
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