100日後、キミのいない世界で生きていく
「全く…。バカなこと言って…っ」


不思議と、陽菜乃がそう言うんだからきっとそうなんだろうと思っている私は一番のバカだ。


「私はみんなと出逢って、たくさん間違えてたくさん傷つけ合ったけど、それでも一生に一度の友情も恋も経験することができた。全部私の大切な宝物。だから、この世界で生きていて欲しいの。私はみんなの記憶の中にずっといるから。六人で、大人になってもずっと一緒にいよう。みんなのこと愛してるよ」


ぷつりとそこで陽菜乃の動画は途切れた。


「…この世界に陽菜乃はいないけど、それでも私たちは生きていかないと」

「ああ。六人で、この世界で生きていくんだ」


みんなはもう下を向いていなかった。

現実から目を逸らすことなんてしていなかった。


それはきっと、私たちの心に陽菜乃がこれからもい続けるから。

陽菜乃がくれた言葉が、思い出が私たちを強くしてくれるから。

だから、生きるよ。

いつかこの宝物をくれた陽菜乃とまた出逢うその日まで、私たちはもう少し生きてみようと思う。
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