100日後、キミのいない世界で生きていく
「そう!隣のクラスの子が教えてくれたの。戻りたい過去を強く願って電車に乗ると、過去に連れて行ってくれることがあるって」

「なにその都市伝説?初めて聞いた」


移動教室授業でたまたま隣になった子に教えてもらった話を、放課後の私たちしかいない教室でふと思い出してみんなにも教えてあげる。


「なんか色々と条件?的なのもあるらしいよ。すごいよね!過去に戻れる電車!」

「馬鹿らしい。本気で信じてるわけー?」

「陽菜乃は将来、壺とか買わされそうだねぇ」

「過去かー。本当に戻れたら、いいけどな!」

「戻れるわけないだろ」


そりゃ私だって完全に信じてるわけじゃなくて、本当にあったらいいなってくらいだけどそんなみんなで全否定しなくても…。


「ないとは言い切れないだろ?俺だってその電車、乗ったことあるし」

「…え?ええ!?莉久、過去に戻れる電車乗ったことあるの!?」

「小さい頃だけどな。六歳くらいの時。出て行っていなくなった母さんがいた頃に戻りたいと思って適当に電車に乗ったら、本当に過去に行けちゃったんだよ。陽菜乃が言ってたみたいに条件もあった。“①過去に戻れるのは人生で一度だけ。②期限は100日間限定。100日後には現代に戻ってきてしまう。③基本的に過去の改変はできない。決まっている過去の結末は変えられない。”ってアナウンスが流れたかと思うと、気づいたら俺はまだ母さんがいた四歳の頃に戻ってたわけ」

「えー何それすごい!」
< 34 / 144 >

この作品をシェア

pagetop