100日後、キミのいない世界で生きていく

「あはは、まんまと陽菜乃騙されてるじゃん」

「え、嘘なの！？」


美波がおなかを抱えてケラケラと笑っている。他のみんなも呆れたように笑っていた。


「陽菜乃は純粋なんだから、そんな嘘ついちゃダメだよぉ莉久」

「別に俺は嘘なんかついてねぇよ」

「なあなあ、仮に過去に戻れるとしたら、みんなだったらいつに戻りたい？」


颯太の質問に馬鹿にしたように笑っていたみんなが考え込み出した。


「俺は中三かな！最後の大会でミスしたのが未だに忘れられなくてさ」

「若菜はぁ、中一」

「俺も中一かも。野外学習が楽しかったから」

「えー迷う。けど…」

「えっとねー私は…」

「「今のままがいい」」


美波と言葉が被り、顔を見合わせて吹き出す。


「戻りたい過去なんてたくさんあるけど、今が楽しいから満足！」

「私も今が一番」


もしも未来の私が過去に戻れるとしたら、それは間違いなく“14歳(いま)”と答えるだろう。

不穏な影が近づいてきているとも知らずに、私たちは馬鹿みたいに笑っていた。