向日葵の園

向日葵の園

「それにしても本当に不思議」

「お姉ちゃん?どうかした?」

旅行一日目。
既に十三時を回っている。

キャンプ、とは違うんだけど
最初のお昼ご飯は″それっぽく″カレーライスで一致して、
準備に取り掛かった。

庭…と呼んでいいのか疑問が浮かぶ広大な敷地の一角で
都と憂さんが薪で火を起こしてくれている。

普通にキッチンがあるんだからその方がラクなのに
一貫して「普段と違うことがしたい」って綴の主張により、
本当にキャンプみたいになった。

そんな綴は″キャンプ″の準備からは外れて、
「別荘内が綺麗でも、いくらなんでも寝具が不安」だって言って、
全室のベッドに使用しているカバー類を洗濯してくれている。

別荘に着いた時に一通りルームツアーをした。
どのベッドルームも高級ホテルみたいな真っ白な寝具が使われていた。

見た目は清潔そうに見えるけれど
やっぱり乱れているし、誰が使ったか分からないのは確かに怖い。

「夜までに乾くかな?」

「乾燥機があるから使えばいいよ」

「そうそう。さっき見たけどここの乾燥機、相当大きいわよ。さすが憂様」

「日和、茶化すなよ」

お姉ちゃん達のイチャイチャに私達三人はわざと顔を(しか)めて見せた。

いやいや、今ここで恋人が居ないのは私だけなんだから
私だけが被害者なんですけど!
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