向日葵の園
今までの人生で一番くらい、絶品に出来上がったカレーをきれいに平らげて、
綴は「満腹通り越してしんどい…」なんてゲッソリしている。

「都くん、片付け手伝ってくれる?」

「もちろんです」

「じゃあ私はお皿とか細かい物洗うね。陽毬、手伝って」

「はーい」

「待ってぇー。それなら私も」

「綴ちゃんはいいわよ。お掃除、一番大変だったでしょ」

「そうだよ。綴はちょっと横になってたら?」

「えーん。いいんですかぁ」

「綴、食ってすぐ横になったら太るぞ」

「うっさい!都はトレーニングでもしてきたら!」

「俺に休ませる為の旅行じゃないのかよ」

みんなでワーワー言いながら
片付けに取り掛かる。

山奥だからか、十七時を過ぎた頃には陽が沈み出した。
町とは違う時間が流れている気がする。

「相当お腹いっぱいだけど、夜ご飯どうしようか?」

「ヒマワリちゃん達はどう?」

「私、今日は大丈夫かなぁ」

「俺も。適当にお菓子とかつまむ感じでいいかも」

「そうしようよ。お菓子パーティーで親睦会!」

あんなに苦しそうにしていたのに
綴はもうキラキラと瞳を輝かせて楽しそうに言った。

「そうだね。じゃあ夜まではのんびり過ごそうか。道中からずっと動いてたし疲れただろうからちょっと休もう」

「はーい」

憂さんの言葉に全員頷いて、
片付けが終わったらお姉ちゃんはシャワーを浴びに行ったり、食べたばっかりなのに都は筋トレを始めたりした。

私と綴は何人掛けかも分からないくらい大きなソファでゴロゴロしている。

目の前の窓からは数メートル先の向日葵畑、いや、向日葵の園が
陽が落ちたせいかうっすらとグレーになって広がっている。
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