向日葵の園
「ひま?」

電球色のオレンジ色の灯りをぼんやりと灯して
都が冷蔵庫の前に立っている。

「どうしたの?」

「喉渇いちゃってさ。もしかしてひまも?」

「うん。同じ」

「何飲む?」

「水でいいや」

都がグラスにミネラルウォーターを注いでくれた。
これだけですごく嬉しくなっちゃうんだから
救いようがない。

「寝れた?」

「うん。ちょっと寝てたよ。でも寒かったみたい」

「分かる。山のことナメてたよなぁ」

「ね」

「でも明日早起きしてさ。この空気の中でトレーニングしたらすげぇ気持ち良さそうだよな」

「ほんとに運動が好きなんだね」

「それしか取り柄がありませんから」

「そんなことないよ都はっ…」

「ん?」

「…なんでもない。そうかもね、唯一の特技かも」

「ひっでぇ」

都には言い切れないくらいの魅力がある。
でもそれを伝える役目は私じゃない。

一番そばで、誰よりも好きだって
誰よりも素敵だって伝える権利が欲しかった。
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