向日葵の園
綴と我儘を言い合っていたら
「おはよ」って声が背中のほうから聞こえてきた。

「おー(みやこ)、おはよー」

振り向かなくても
綴が名前を呼ばなくても、
誰の声なのかすぐに分かる。

私の好きな人、都。

都は綴の彼氏。

私と都は中一の時から同じクラスだった。
都のことが好きだって話はもちろん綴にもずっとしていた。
綴とは小学生の頃からずっと一緒だったし、
隠し事なんてできなかったから。

それなのに、中二で三人同じクラスになったらあっさりと、綴と都は付き合い始めた。

綴にはきっと、悪気なんかないって言い聞かせた。
だって綴が私に嫌なことをしたことなんて
一度も無いもん。

好きになってしまったのならしょうがない。
それが両想いなら尚更。

友達を失うくらいなら、
この日常が続くのなら、
我慢したほうがずっとずっとマシだった。
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