向日葵の園
よっぽど大きく育ってしまったのか
重たそうに(こうべ)を垂れるようにして、紙袋に覆われた向日葵。

ゼェゼェと上がる呼吸を整える余裕も無い。

震える指先。

胸騒ぎがする。

なんで向日葵にこんなことをしているのか。
なんの予測もつかないけれど
このパンドラの箱を開けてしまったら
すごく良くないことが起こるかもしれないと、
頭の奥のほうで激しく警鐘が鳴り響いているのに。

ゆっくり、ゆっくりと、
紙袋に指先が触れる。

カサ、っと小さく音を立てた紙袋は
ズルリと滑り落ちる。

紙袋の外側はなんの変哲も無いクラフト紙なのに、
内側は粘着質を感じた。

私の目の前に現れた…………、

「ひ……と…………?」

血走った目。
ギョロリとこちらに向いた。

項垂れるようにしないだ、首?
首から下は確かに向日葵の茎そのものなのに。

ひどくひび割れた……くちびる?

額から顎まで顔全体を覆う…………

「種……」

「悪い子だね?好奇心は人を破滅させるんだよ」
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