妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

 何枚も絵が飾られている廊下を、あんぐりと口を開けながら歩く。

 私、本当にこの家にいていいのかな。

 なんだか場違いのような……。

 私が緊張しながら長い廊下を歩いていると、凪季が足を止めた。

「ここが俺の部屋」

 凪季の部屋は、家具や壁紙が白と黒で統一されたシンプルな部屋だった。

「わあ、きれいだね」

「ありがと。昨日、がんばって掃除したから」

 そう言うと、凪季は机から一冊の古い本のようなものを出してきた。

「それで、今日朱里をここに呼んだのはこれを見てほしいからなんだ」

 凪季はぺらぺらと黄色く焼けた本のページをめくっていく。

「これはうちの敷地にある古い蔵を掃除して見つけた古文書なんだけど――ほら、ここ。僕の先祖がここに住んでいた妖狐を退治したときの話が載ってる」

「えっ、本当?」

 私は凪季の指さすページをじっと見つめた。

 文字はかなり崩されていてほとんど読めなかったけれど、「九尾の狐」という文字と、陰陽師が妖狐と戦う絵が描かれていたのは分かった。
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