【番外編】再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。その後の話。
急にこちらに振られてびっくりする。
「コハル……そうなのか?」
ギギギと油の差していないブリキの人形のような動きでリューがこちらを振り返った。
「俺よりも、こいつの方が好きなのか?」
「え、えっと」
「コハルさま! こんなに可愛くてお役に立てるメリーの方が好きに決まってますよね!?」
ふたりから怖いくらいに真剣な目で見つめられ嫌な汗が出てくる。
リューとメリーの“好き”は全く違う種類のものだ。それを比べるなんて出来るわけがない。
(ど、どうしよう)
これは、どう答えるのが正解なのだろう。
下手なことを言ったらどちらかを傷つけてしまう気がしてすぐには答えられずにいると、その間もふたりの顔はどんどん険しくなっていって。
「コハル……」
「コハルさま」
「~~っ、ふたりとも大好きなので比べたくありません!」
思い切ってそう答えると、ふたりはなんだかとても微妙な顔をした。
「……それは、こいつと俺は同程度ということか?」
「メリーとこの変態が同じ……?」
「変態はやめろと言ってるだろうが!」
「うるせー! まずその格好をなんとかしろ変態!」
「貴様がいきなり入ってきたんだろうが! 無礼にもほどがあるぞ!」
またふたりの言い合いが始まってしまって、私はもう面倒になってシーツを頭から被ったのだった。