【番外編】再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。その後の話。
「リュー、まだ怒ってるんですか?」
「別に怒ってない」
夕食を終え自室に戻る途中で声を掛けるとそんな不機嫌な声が返ってきて小さく溜息を吐く。
どう見ても怒っている。というか不貞腐れている。
夕食中もずっとブスっとした顔をしていたのだ。
(やっぱ答え方間違ったかなぁ……)
それにしても、メリーにまで嫉妬するなんて。
ちなみにメリーの方はもう気にしていないよう。
でも一応、皆が驚いてしまうから城内ではなるべく元の姿でいてねとお願いをした。
正直、私もまだメリーの人間の姿には慣れていないし、毎度こんな面倒なことになってはたまらない。
メリーは元の可愛らしいもこもこの姿で「はい!」と元気よく返事をしてくれた。
(まったくもう)
不機嫌オーラ漂う背中を見つめ、私は周囲に誰もいないことを確認して彼に近づいた。
「リュー、ちょっと」
「なん」
振り向いた彼の頬を両手で挟み、精一杯のつま先立ちでその唇に短いキスをした。
驚いた様子で目を瞬いている彼に言う。
「私がこういうことをしたいと思うのはリューだけです」
「コハル……」