俺の彼女は高校教師
「ただいま人身事故の影響で停車しております。 ご乗車の皆様には大変ご迷惑をおかけしておりますが今しばらくお待ちくださいませ。」
救急車やらパトカーやら野次馬やらいろんなのが集まってきた。 どうやら陸橋から飛び降りたらしい。
死ぬなとは言わないけど考えてくれよ。 こんな所じゃあたくさんの人たちに迷惑を掛けるんだぜ。
死ぬ時まで迷惑を掛けるのは嫌だなあ。 せめて一人静かに死にたいわ。
そこへ電話が掛かってきた。 (誰だ?)
番号を見ると香澄である。
「あんにゃろう、こんな時に掛けてきやがって、、、。」 「もしもし? 大丈夫なの?」
「何がだよ?」 「お父さんから聞いたんだけど陸橋から飛び降りた人が居るんだって?」 「そうだよ。 だから今も止まってる。」
「心配だなあ。」 「お前じゃないから大丈夫だよ。」
「そうじゃなくて、トイレとか、、、。」 「ブ、、、そっちか。」
「そっちかは無いでしょう? これでも心配してるんだからね。」 「わりいわりい。 心配かけたな。」
「んもう、、、。」 電話を切ると俺はまた窓の外に目をやった。
あれから1時間近く、、、。 どうやら全ての電車に影響が及んでいるらしい。 そうだよなあ。
「お客様に申し上げます。 この電車は現在地で運転を取りやめることと相成りました。 それによりまして代理の交通手段をご用意いたしましたのでお急ぎの方から順に御移動をお願いいたします。」
代理とは言われても陸橋を過ぎれば降りる駅は目の前だ。 ここから線路沿いに突っ走っていくことにした俺は取り敢えず線路から出てみた。
そしたら見覚えの有る車が近付いてきた。 (何だろう?)
よくよく見てみると魚屋の親父さんだった。 助手席には香澄も乗っている。
「大丈夫? すんごい事故だねえ。」 「ケガは無いからいいけど、、、。」
「明日は動くかなあ?」 「夜の間に元通りになるよ。」
「弘明君 本当に大丈夫?」 「心配なら見てみる?」
「いえ、けっこうです。」 「冷たいなあ。」
「弘明君も冷たいから。」 「あっそう。」
「じゃあ家まで送るよ。 買い物のついでだから。」 「どうも。」
それで香澄のお父さんに送ってもらったんだが、、、。 「あらあら、香澄ちゃんに送ってもらったの? 仲いいわねえ。」
「っていうよりお節介なんだよ あいつ。」 「まあまあ愛されてるのねえ。 弘明は。」
「そうだかどうだか知らないよ。」 「あらまあドライなのね?」
「関心が無いだけ。」 「あらまあ、可哀そうに。」
玄関で降りたところに母ちゃんが飛んできたからこんな話をしながら中へ入ったんだ。 そこへ電話が掛かってきた。
「誰だい?」 母ちゃんは不思議そうな顔をするけど、俺は番号を見てから保留にした。
「出なくていいの?」 「後でするから大丈夫。」
「そうかいそうかい。」 母ちゃんは気にも留めずに台所に行ってしまった。
部屋に戻ってから折り返しで掛けてみる。 なんせ美和だったからさあ、、、。
「事故 すごかったみたいね?」 「飛び降りたんだってよ。」
「それじゃあ逃げられなかったわね。」 「そうそう。 まさか飛び降りるなんて思わないからさあ。」
「そうよねえ。 んで弘明君は大丈夫なの?」 「俺がぶつかったわけじゃないから大丈夫だよ。」
後ろで誰かの声が聞こえる。 「忙しいんじゃないの?」
「これから試合に向けて出発式をやるんだ。」 「頑張ってね。 初めてなんだから。」
「うん。 ありがとう。」 美和が電話を切ったのを見て俺は床に体を投げ出した。
寝落ちしそうになると美和の温盛を思い出して目が覚める。 「何だ、夢か。」
そのたびにどっか寂しい思いに包まれてしまうんだ。 「飯だぞーーーーー。」
いつもの声が聞こえる。 俺は起き上がると階段を下りて行った。
父さんはまだまだ帰ってきてないみたい。 母ちゃんは煮物を食べながらニュースを見ている。
「そうか。 30歳の女の子だったんだねえ。」 「何が?」
「陸橋から飛び降りた人さ。」 「ああ、あれね。」
「あれねは無いだろう。 お前が乗ってた電車に突っ込んだんだから。」 「死ぬなとは言わんけど飛び込みは無いよ。」
「そうかもしれないけど、この子だって已むに已まれぬ物が有ったんだよ。」 「それでも、、、。」
「あの事故は大変だったねえ。 自殺じゃあ賠償も相当だぞ。」 そこへ父さんが帰ってきた。
「だよ。 電車も全部止まったらしいしね。」 「そりゃあ家族も大変だなあ。」
「それで香澄ちゃんのお父さんに迎えに来てもらったんだって。」 「そうじゃないよ。 線路外に出たら香澄のお父さんが車で走ってきたから乗せてもらったんだよ。」
「どっちでもいいやん。 お前はやっぱり香澄ちゃんと縁が有るんだなあ。」 「縁ねえ。」
「嫌いか?」 「好きでも嫌いでもないよ。」
「まあ、そのうちに分かるさ。」 父さんは疲れた顔でビールを飲み干した。
その夜はどうもあの事故の夢ばかり見ております。 しかも香澄が飛び降りる夢、、、。
「弘明君なんか大嫌いだからーーーーーーー!」 そう言って飛び降りていく香澄を見ていると何となく背筋がぞっとするんだ。
あいつみたいなやつはやらないように見えてやるからなあ。 律子にでも抑えてもらうか。
でもなんか「何で私なのよーーーーー? 小百合ちゃんにでもやってもらえばいいっしょ?」なんて言ってきそうだな。 多分に有る。
それだからか寝ているとあっちへコロコロ、こっちへコロコロ転がって頭を打ったり壁を殴ったり、、、。 「うるさいなあ。 静かにしなさいよ。」
終いには姉ちゃんも痺れを切らして怒り出す始末。 そんなこと言われても、、、。
翌日は学校に行っても冴えない顔でボーっとしているんだ。 今日から美和も居ないし、、、。
県大会だから一週間は帰ってこない。 負ければ別だけどね。
でも美和のあの顔を見たら負ける気はしないんだ。 最後まで残るだろうなあ。
「おーい、弘明君。 元気無いなあ。 どうしたの?」 香澄が心配そうに聞いてきた。
「何でもねえよ。 ひょっとこ。」 「うわ、また馬鹿にしたなあ?」
「お前でも馬鹿にしてないとつまんなくてさあ。」 「何でよ?」
「いいじゃん。 ひょっとこ。」 「だ、か、ら、それはやめてって。」
「言われたこと無いけどなあ。」 「意地悪ねえ。 やめてったらやめて。」
「エッチデモするのか?」 「そんなんじゃないわよ。 馬鹿。」
「ほらほらお前も馬鹿馬鹿言うとりますやんか。」 「いいの。 私は女王様なんだから。」
「どう見たって魔王様だけどなあ。」 「どっちでもいいわ。 何で元気無いの?」
「ひょっとこが遊んでくれないから。」 「意地悪。 弘明君の相手なんかしてやんないもんねえだ。」
アカンベエをする香澄を見て律子と小百合が我慢できない顔で噴き出した。 「ひどいなあ りっちゃんたちも。」
「香澄ーー、面白過ぎるーーーー。」 「これでエンタの神様に出れるなあ。」
「何だよ?」 「ほらほら助番京子が笑ってるぞーーーー。」
「あんた、古過ぎ。」 「ごめんちゃい。」
何や知らんが今日も訳の分からんクラスだなあ。 一日疲れそうだわ。
美和は居ないし図書館に行っても誰も居ないし、数学は英語に代わっちゃうしつまんねえ一日だなあ。
救急車やらパトカーやら野次馬やらいろんなのが集まってきた。 どうやら陸橋から飛び降りたらしい。
死ぬなとは言わないけど考えてくれよ。 こんな所じゃあたくさんの人たちに迷惑を掛けるんだぜ。
死ぬ時まで迷惑を掛けるのは嫌だなあ。 せめて一人静かに死にたいわ。
そこへ電話が掛かってきた。 (誰だ?)
番号を見ると香澄である。
「あんにゃろう、こんな時に掛けてきやがって、、、。」 「もしもし? 大丈夫なの?」
「何がだよ?」 「お父さんから聞いたんだけど陸橋から飛び降りた人が居るんだって?」 「そうだよ。 だから今も止まってる。」
「心配だなあ。」 「お前じゃないから大丈夫だよ。」
「そうじゃなくて、トイレとか、、、。」 「ブ、、、そっちか。」
「そっちかは無いでしょう? これでも心配してるんだからね。」 「わりいわりい。 心配かけたな。」
「んもう、、、。」 電話を切ると俺はまた窓の外に目をやった。
あれから1時間近く、、、。 どうやら全ての電車に影響が及んでいるらしい。 そうだよなあ。
「お客様に申し上げます。 この電車は現在地で運転を取りやめることと相成りました。 それによりまして代理の交通手段をご用意いたしましたのでお急ぎの方から順に御移動をお願いいたします。」
代理とは言われても陸橋を過ぎれば降りる駅は目の前だ。 ここから線路沿いに突っ走っていくことにした俺は取り敢えず線路から出てみた。
そしたら見覚えの有る車が近付いてきた。 (何だろう?)
よくよく見てみると魚屋の親父さんだった。 助手席には香澄も乗っている。
「大丈夫? すんごい事故だねえ。」 「ケガは無いからいいけど、、、。」
「明日は動くかなあ?」 「夜の間に元通りになるよ。」
「弘明君 本当に大丈夫?」 「心配なら見てみる?」
「いえ、けっこうです。」 「冷たいなあ。」
「弘明君も冷たいから。」 「あっそう。」
「じゃあ家まで送るよ。 買い物のついでだから。」 「どうも。」
それで香澄のお父さんに送ってもらったんだが、、、。 「あらあら、香澄ちゃんに送ってもらったの? 仲いいわねえ。」
「っていうよりお節介なんだよ あいつ。」 「まあまあ愛されてるのねえ。 弘明は。」
「そうだかどうだか知らないよ。」 「あらまあドライなのね?」
「関心が無いだけ。」 「あらまあ、可哀そうに。」
玄関で降りたところに母ちゃんが飛んできたからこんな話をしながら中へ入ったんだ。 そこへ電話が掛かってきた。
「誰だい?」 母ちゃんは不思議そうな顔をするけど、俺は番号を見てから保留にした。
「出なくていいの?」 「後でするから大丈夫。」
「そうかいそうかい。」 母ちゃんは気にも留めずに台所に行ってしまった。
部屋に戻ってから折り返しで掛けてみる。 なんせ美和だったからさあ、、、。
「事故 すごかったみたいね?」 「飛び降りたんだってよ。」
「それじゃあ逃げられなかったわね。」 「そうそう。 まさか飛び降りるなんて思わないからさあ。」
「そうよねえ。 んで弘明君は大丈夫なの?」 「俺がぶつかったわけじゃないから大丈夫だよ。」
後ろで誰かの声が聞こえる。 「忙しいんじゃないの?」
「これから試合に向けて出発式をやるんだ。」 「頑張ってね。 初めてなんだから。」
「うん。 ありがとう。」 美和が電話を切ったのを見て俺は床に体を投げ出した。
寝落ちしそうになると美和の温盛を思い出して目が覚める。 「何だ、夢か。」
そのたびにどっか寂しい思いに包まれてしまうんだ。 「飯だぞーーーーー。」
いつもの声が聞こえる。 俺は起き上がると階段を下りて行った。
父さんはまだまだ帰ってきてないみたい。 母ちゃんは煮物を食べながらニュースを見ている。
「そうか。 30歳の女の子だったんだねえ。」 「何が?」
「陸橋から飛び降りた人さ。」 「ああ、あれね。」
「あれねは無いだろう。 お前が乗ってた電車に突っ込んだんだから。」 「死ぬなとは言わんけど飛び込みは無いよ。」
「そうかもしれないけど、この子だって已むに已まれぬ物が有ったんだよ。」 「それでも、、、。」
「あの事故は大変だったねえ。 自殺じゃあ賠償も相当だぞ。」 そこへ父さんが帰ってきた。
「だよ。 電車も全部止まったらしいしね。」 「そりゃあ家族も大変だなあ。」
「それで香澄ちゃんのお父さんに迎えに来てもらったんだって。」 「そうじゃないよ。 線路外に出たら香澄のお父さんが車で走ってきたから乗せてもらったんだよ。」
「どっちでもいいやん。 お前はやっぱり香澄ちゃんと縁が有るんだなあ。」 「縁ねえ。」
「嫌いか?」 「好きでも嫌いでもないよ。」
「まあ、そのうちに分かるさ。」 父さんは疲れた顔でビールを飲み干した。
その夜はどうもあの事故の夢ばかり見ております。 しかも香澄が飛び降りる夢、、、。
「弘明君なんか大嫌いだからーーーーーーー!」 そう言って飛び降りていく香澄を見ていると何となく背筋がぞっとするんだ。
あいつみたいなやつはやらないように見えてやるからなあ。 律子にでも抑えてもらうか。
でもなんか「何で私なのよーーーーー? 小百合ちゃんにでもやってもらえばいいっしょ?」なんて言ってきそうだな。 多分に有る。
それだからか寝ているとあっちへコロコロ、こっちへコロコロ転がって頭を打ったり壁を殴ったり、、、。 「うるさいなあ。 静かにしなさいよ。」
終いには姉ちゃんも痺れを切らして怒り出す始末。 そんなこと言われても、、、。
翌日は学校に行っても冴えない顔でボーっとしているんだ。 今日から美和も居ないし、、、。
県大会だから一週間は帰ってこない。 負ければ別だけどね。
でも美和のあの顔を見たら負ける気はしないんだ。 最後まで残るだろうなあ。
「おーい、弘明君。 元気無いなあ。 どうしたの?」 香澄が心配そうに聞いてきた。
「何でもねえよ。 ひょっとこ。」 「うわ、また馬鹿にしたなあ?」
「お前でも馬鹿にしてないとつまんなくてさあ。」 「何でよ?」
「いいじゃん。 ひょっとこ。」 「だ、か、ら、それはやめてって。」
「言われたこと無いけどなあ。」 「意地悪ねえ。 やめてったらやめて。」
「エッチデモするのか?」 「そんなんじゃないわよ。 馬鹿。」
「ほらほらお前も馬鹿馬鹿言うとりますやんか。」 「いいの。 私は女王様なんだから。」
「どう見たって魔王様だけどなあ。」 「どっちでもいいわ。 何で元気無いの?」
「ひょっとこが遊んでくれないから。」 「意地悪。 弘明君の相手なんかしてやんないもんねえだ。」
アカンベエをする香澄を見て律子と小百合が我慢できない顔で噴き出した。 「ひどいなあ りっちゃんたちも。」
「香澄ーー、面白過ぎるーーーー。」 「これでエンタの神様に出れるなあ。」
「何だよ?」 「ほらほら助番京子が笑ってるぞーーーー。」
「あんた、古過ぎ。」 「ごめんちゃい。」
何や知らんが今日も訳の分からんクラスだなあ。 一日疲れそうだわ。
美和は居ないし図書館に行っても誰も居ないし、数学は英語に代わっちゃうしつまんねえ一日だなあ。