俺の彼女は高校教師

第8章 ウハウハしようぜ!

 10月18日金曜日、俺たちは東北新幹線で函館へ向かっていた。 初めての北海道だあ。
律子も小百合もさっきからソワソワしっぱなし。 久保山先生は窓の外を見ながらミナッチと話してる最中。
俺はというと香澄や涼子に囲まれてボーっとしてまーす。 美和は三つ前の席に座ってる。
 次は那須塩原。 那須御用邸が在るあの辺り。 今乗ってるのはハヤブサ。
後ろのほうにはコマチが繋がっている。 こいつに乗ったら秋田に行っちゃうから要注意。
この列車 完全指定席なんだよね。 自由席は無し。
 那須塩原を過ぎると次は福島。 うーーーん、東日本大震災はひどかった。
原発がメルトダウンしちゃったんだもんね。 あれから数年、原発は動かせなかった。
 東北新幹線も開通して何年になるんだろう? 今じゃあ青函トンネルも爆走するんだよね。
すごいもんだねえ。 海底を走る新幹線なんて。
 香澄はというと眠くなったのか俺にもたれてきた。 たまに見るとこいつも可愛い女だなあ。
そんな香澄を抱いちゃったんだよな。 ごめんな 香澄。
 律子はというと欠伸をしながらお菓子を食べてます。 寝てるやつも居る。
そりゃあハヤブサに5時間近く乗ってるんだもんね。 眠くなるわ。

 青函トンネルを爆走して北海道に入りました。 「うわー、北海道だって。」
「もうすぐ降りるからな。 準備しろよ。」 久保山先生の声が聞こえた。
 降りるのは新函館北斗。 ここから函館ライナーに乗って函館に向かうんだとさ。
香澄はさっきからうずうずしまくっていて今にも飛び跳ねそうな状態。 「函館って何が美味しいのかなあ?」
「お前。」 「え? お前なんて食べ物有るの?」
「馬鹿。 お前だよ お前。」 「え? 私なの? やだなあ エッチ。」
「香澄、新幹線の中くらいはおとなしくしなさいよ。」 「弘明君が悪いの。」
「またお説教してやろうか?」 「やだやだ。 それはやだ。」
「じゃあ黙ってなさいよ。」 荷物をまとめながら律子が釘を刺す。
 またまたしょんぼりした香澄は俺にくっ付いてきた。 「仲いいわねえ。 お二人さん。」
美和まで楽しそうに俺たちを突いてくる。 やめてくれってば。
 午後2時過ぎ、ハヤブサは新函館北斗に着いた。 ここからは函館ライナーだ。
ジージーゴーゴートエンジンを唸らせながら函館ライナーは走っていく。 ディーゼルカーの爆音と振動に何か耳が擽ったい。
 函館駅を出るとひとまず泊まるホテルに直行だあ。 荷物を置いたら明日の散歩コースを下見しよう。
松蔭町 杉本町 柏木町 湯川町、いろいろ見たい所は有るんだけど迷っちゃうなあ。 「弘明くーーーん、決まったかな?」
「全然決まらないわ。」 「あっそう。」
「お前は決めたのか?」 「私はラーメン屋を巡ることにしたわ。」
「そうですかそうですか。 お幸せに。」 「何よ その言い方?」
「食い物しか興味が無いなんてさすがは魚屋のお嬢様だこと。」 「だからさあ、いつになったらお嬢様ってやめてくれるの?」
「お前が可愛くなったらやめてやるよ。」 「じゃあ可愛くないのね? ひどいわーーーーー。」
 「まあまあ弘明君 函館に来てまで香澄ちゃんを泣かせてるの?」 「いや、その、それは、、、。」
「仲がいいのねえ。 香澄ちゃんも考えてあげなさいよ 少しは。」 「少しだけ考えてます。」
「そうじゃなくてさあ、、、。」 話に割り込んできた美和は香澄の珍回答に言葉を失ってしまった。

 「いいか。 6時から大部屋で食事だ。 それまでに部屋のほうでゆっくり休んでおくように。」 「はーーーーい。」
とは言うけれどのんびりできるはずも無い。 早速に部屋を飛び出して買い物やら見学やらと飛び回っております。
「明日は函館中を飛び回るんだから地図くらい持っとかないとねえ。」 そう言いながら観光マップを拾い読みしているやつも居る。
「市電と市バスとどっちが便利かなあ?」なんて相談し合ってるやつも居る。 俺はなぜか香澄に捕まっている。
 「ねえねえ明日さあ、五稜郭に行かない?」 「何すんの?」
「五稜郭タワーに上りたいんだ。」 「タワーねえ。」
「ご不満でも?」 「いやいや別に無いよ。」
「なんか私とは嫌だって聞こえるんだけどなあ。」 そう言いながら香澄が顔を覗き込んでくる。
「気持ち悪いなあ お前。」 「うわ、気持ち悪いだって。 よくも言ったわね?」
「言いましたけど何か?」 「高橋先生に言い付けてやるぞ。」
「何を言い付けるの?」 「ワワワ、先生が来た。」
「そうよ。 香澄ちゃんたちと同行してくれって久保山先生から頼まれたの。」 「そっか。 じゃあ、、、。」
どうやら五稜郭巡りは俺たち三人だけらしい。 市電沿線巡りが大半なんだって。
「夜だったら良かったのになあ。」 「何言ってんの? 昼間は観光名所を回るんでしょう?」
「観光名所?」 「函館奉行所とかどっかとか。 それで夕方から班に分かれて動くんだってよ。」
(やべえなあ。 タワーでラブラブショットをってなりそうな嫌な予感。) 「大丈夫。 三人で一緒に写真を撮ろうね。」
香澄は先回りして俺に釘を刺してきた。 やりおったわ。
 勝ち誇ったような顔の香澄を連れて大食堂へやってくる。 ズラリとテーブルが並んでいる。
「ここに座ろうっと。」 「待て待て。 籤引きだ。」
「いいじゃん。 腹減ったんだし。」 「ダメだってば。 籤引きだって。」
 その様子を見ながら久保山先生も渋い顔をしている。 「吉田と長澤は俺の前だな。」
「うわ、最低最悪。」 「何だと?」
「いえ。 何でもありません。」 二人はしょぼくれた顔で久保山先生の向かい側に座った。
 俺はというとミナッチに律子に斉藤崇、そして横田泉に囲まれている。 なんか中途半端だなあ。
隣のテーブルから笑い声が聞こえてきた。 美和と香澄が並んで座っている。
いやいや、やられちまったな。 飯を掻き込みながら羨ましそうな眼で香澄を見るのでありました。

 夕食後は9時まで自由時間。 俺は部屋の中に有る風呂に飛び込んだ。
大浴場に行っても良かったんだけどさっさと寝たくてさ。 でもホテルの風呂ってユニットバスなんだよなあ。
便器を見ながら体を洗うのってどうなんだよ? それを思うと大浴場のほうが良かったかな?
 でも函館って言うとうるさーーーーーーーーーーーい中国人が多いイメージ。 モラルもくそも無いあいつらと一緒にはなりたくないなあ。
それを思うとルームバスで十分だったかもなあ。 うん。

 さあ次の日は朝から観光ですよーーーーーーー。 朝市 ベイエリア 十字街 公会堂 五稜郭 函館山。 あっちこっちに別れて散策の開始だあ。
俺のグループは五稜郭を中心に回る予定。 市電の車庫とか競馬場とか五稜郭タワーとか、、、。 ある程度の情報は先回りして調べておいたから後は見て回るだけ。
 美和も香澄も付いてきた。 今日は波乱万丈かもよ。
市電で五稜郭まで行きましてまずはタワーに上りましょうか。 朝っぱらだから観光客がパラパラっと居るくらいだ。
「ここで記念ショットを撮りたいわね。」 美和もなんか嬉しそう。 香澄はちょっとライバル意識を燃やしております。
 タワーの中を回りながらシャッターポイントを、、、。 「この辺かなあ?」
ちょうどいい感じでビルが並んでいて騒々しくも無さそうな所を見付けた香澄は俺に寄ってきた。 「ねえねえ、ここここ。」
「分かったよ。 こっちも見てるから焦るな。」 「もう。 私の話なんて聞いてないんだから。」
「聞いてるよ。 うっせえなあ。 馬鹿。」 「また馬鹿にした。」
「だから落ち着けっての。」 「落ち着いてなんか居られないわよ。 馬鹿。」
「ほらほら、お前だって馬鹿馬鹿言うとるやんか。」 「私はいいの。 お嬢様だから。」
「お前がお嬢様ねえ。 じゃあミナッチはおばさまになっちまうぞ。」 「何でよ?」
「朝から賑やかねえ。」 「弘明君はいつもこうなんです。」
「香澄ちゃんだって負けてないじゃない。 二人とももっと考えたら?」 「そうかなあ?」
「香澄ちゃんも弘明君のことを考えてあげなさい。」 「考えてます。」
「全然そういう風には見えないわよ。」 「そうなんですか?」
「言い返すだけじゃなくて「何であんな風に言うのかな?」って考えることも必要よ。」 「それはそうかもだけど、、、。」
 「よし。 ここに決めよう。」 俺はカメラを構えた。
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