~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
「それほどか」

 確かに、凶相に見えるが実際物腰は丁寧で、こちらが嘲った際にも怒りは見せず、冷静にこちらに切り返してみせた。暴君どころか、こちらに未知の情報を教えつつ、それを確かめる猶予(ゆうよ)まで与えて見せる態度には、年上の人物と話しているような錯覚すら覚えたものだ。とても話に聞いた悪女だとは思えない。

「未来が見える、か」
「それを本当に真に受けるのですか?」

 ウィリアムの堅い視線に、ルゼはおどけてくすりと笑った。

「まさか。僕もそれが本当だとは思っちゃいないさ。だが、あの時の話し合いで見せた、彼女の理知的な言動との裏腹さが、どうも気にかかるというかな。それにあの情報、やけに具体的だった」
「とても真実とは思えませんが」
「普通に考えればそうだろう。だが、調べればすぐにばれるような嘘をわざわざ吐くものか? 命の危機が迫っているという状況的にもな。よし、すぐに裏を取ってくれるか、ウィリアム」
「御意」
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