~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 通常はそんなに神経質でない彼らが、ことジェミーを目撃した場合においては、すぐにその場から逃げ出すか壁に貼りついて頭を垂れ、まるで赤絨毯の左右で魔王の登場を待ち受ける配下みたいに恐れ慄いているのである。

 ひどいものだとその場に拝跪したりするので、ジェミーとしても対応に困る。
 それはジェミーをよく知らない下級貴族の間にも広がる気配を見せており、間違いなくその原因は――。

「きゃん!」

 こいつである。

 ジェミーはセニアが後ろからぶつかってくるのを見越してさっと避けた。すると、彼女はその場で盛大にひとりですっ転び、こちらに非難の視線を向けてくる。
 そして、大声で主張した。

「ど、どうしてなんですジェミー様! 通りすがりに足を引っかけて転ばせるなどと、そんな陰湿なことをするなんて! 私がいつ、あなたのお気を触ることをしたというでしょう」
(今してんだけど)
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