~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 どうやらジェミーは、完全に彼女の闇堕ちスイッチをポチっと押してしまったようだ。うるさく騒ぎ立てるその姿に、周囲の視線が集まる。

「あ、あのぅ、私あなたに触れてすらいないのですけど。とりあえず、ドレスも汚れますし、そこからお立ちになってはいかが?」

 ジェミーが引きつり笑いを浮かべながら手を伸ばすと、立ち上がる振りをしたセニアは、自分で自分の頬を叩いてその場に倒れ込む。

「い、痛い! 暴力まで振るうなんてひどいですわ! ま、まさかクラフト殿下と私の関係に嫉妬しておられますの!? 誤解ですわ、私はあの方に以前私の命を助けていただいた縁から仲良くしていただいているだけで、決してあなた様の不興を買おうだなんてそんなことはっ!」
(あんたは芸人か。こりゃさすがにうざいわ)

 小芝居にだんだんいらっとしてきたジェミー。しかもセニアは、手の込んだことに片方の頬だけをチークでやや赤く染めている。まさかこんなもので自分がぶたれたとでも主張しようと?
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