~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 そこまではよかった。しかしその後が挙動がややおかしい。彼はさりげなくルゼを押し退けるようにして肩を抱くと、ジェミーを優先して別棟の建物に連れてゆく。こんなに自分たちはフランクな間柄だったろうか。
 ルゼは意に介していないが、ジェミー的には違和感の感じる行動だ。

 だがその間にも、屋内ではバタバタと外交官が忙しなさそうに動いて、ジェミーの興味はすぐにそちらへ移った。帝国に移り住んでいる王国民などもいるようだから、トラブルが絶えないのかもしれない。

「今回は、帝国とレビエラ王国の関係改善の手助けをしてくれるということだったね」
「ええ。一か月程度の短い期間となりますが、なにか手伝えることがあれば、遠慮なく言ってくださいませね、カーライル大使」
「そんなかしこまった話し方はしなくていいよ。従妹なんだし」
「そお? じゃあお言葉に甘えようかしら、カーライル」
「うん、それでいい。しかし、どういう風の吹き回しだい? 昔の君はボクを見れば無茶を言いつけてたっていうのにさ。駄々をこねられたらどうしようかなって、ものすごく楽しみにしていたのに」
「そ、そうだったかしら」
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