~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 以前の悪役令嬢の性格を好んでいたこと人間がいたことに驚きを禁じ得ず、そこでジェミーは苦労して頭の中の古い記憶を引っ張り出した。

(うっ……)

すると、それは頭痛のするようなものばかり。屋敷に来た彼に「分家の者が私を楽しませようと思った火の輪潜りでもしてみるしかないわね」とか「ちょうどいいサイズの頭があるから林檎の代わりにダーツの的にしようかしら」などといろいろシャレにならん扱いをした黒歴史が、ジェミーの心をじくじくと苛む。

「あ、あの時はごめんなさいね。少し調子に乗り過ぎていたわ」

 だが、頭を下げようとするジェミーを取りなすと、カーライルは朗らかな笑みを浮かべてみせた。

「いいや。あれもボクにとっては君とのいい思い出なのさ、懐かしいな」

 そんな思い出にキラキラ目を光らせて浸っている、どことなくマゾっ気のありそうな従兄に恐怖を抱き、ジェミーは慌てて会話をルゼにパスした。
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