~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 と、そんな一幕があり――くたびれた気持ちを奮い起こす間もなく、ジェミーはこうやって街を散策しに連れ出されたというわけなのである。

 とはいえ最初は嫌々だったもののさすがは若い体。一度街を歩き出せば疲れなんて吹き飛んで興味津々、次第に機嫌を直したジェミーは、風情ある街並みを歩きながら、ふと感じた疑問を隣のルゼにぶつけてみた。

「レビエラ王国より国土も広くて強そうなこの国が、なんだって第二王子殿下に手玉に取られるようなお粗末なことになったんでしょうね?」
「国土が広いからこそどうしても統治が難しくなるのだ思いますよ。たとえば、ひと教室十人の生徒をまとめるのと、三十人の生徒をまとめるのでは労力が全然違うでしょう? 帝国の創始者である初代皇帝は稀代の名君であったと聞いています。そこまで特別な人物はそうそう生まれてきませんよ」
「あー」

 その名君が大ナタを振るって周りの国家を打ち倒し、一代帝国を築き上げたはいいが――その能力が突出し過ぎていて、後々の子孫では大きくなった国をまとめきれなくなった、というところだろうか。それが配下たちの分裂や暴走を呼び、クラフトにつけ入るスキを与えたのかもしれない。
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