~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
「政治って大変ですね~。いろんな人の意見を聞いてまとめあげないといけないんだから。わざわざそれを引き受けようという王子様たちの気が知れませんよ」
「その点は気が合うかもしれないな。僕もそんなややこしい立場、まかり間違ってもごめんです」

 ふたりして、玉座を奪い合う王族たちの考えがわからないと頭を振るばかりだ。
 だって彼らはそんなことしなくても、優雅で贅沢な暮らしが約束されているのだ。食うや食わずやで毎日あくせくと働いている国民だって大変だけれど、何百何千という人間を支配下において日々立場の維持に神経を擦り減らす方もそれはそれで大変なはずだし、わざわざ面倒をしょい込もうとする彼らの気が知れない。

 人間が国家という群れを作って生活するにあたり、そこにヒエラルキーが生成され、自然と自分がどこかのポジションに着くことになるのは避けられないとしても。なるべくなら、自由と安定を両立できる、のんびりとした生活を過ごしていきたいもんである。

「はー、理解ある両親のもとに生まれて。わ・た・し、幸せ……」
「あの家族はあなたを甘やかしすぎです。王族と婚約したという事実のためなら、普通の家なら喜んで娘を差し出すでしょう。位の高い貴族家の人間としては珍しい考えの持ち主だと思うな」
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